英語の倍数表現|原級・比較級・倍数詞

数字は具体的でインパクトもあるため、効果・結果の説明にとても重宝します。

グラフや表の読み取りでは、正確な数値よりも倍数表現を使う方が多いかもしれません。「およそ〇倍だ」「〇倍以上の差がある」などと結果を要約してあげた方が、要点も伝わりますしインパクトもあるからです。「Aは1.45で、Bは3.27だった」などと書くよりも、「BはAの約2倍だった」とした方が分かりやすいですよね。

データ描写ではない普通の英作文でも、数字を使って説明した方が具体性が増します。「AのほうがBよりずっと速かった」よりも、「AはBの3倍速かった」とした方が具体的にイメージできます。

このように、倍数表現を使いたい場面は英作文ではとても多いはずです。今回は、基本の倍数表現「XX times as 原級 as YY」はもちろん、比較級を使った表現やその他の表現など、「倍数」表現の例文を揃えました。

英作文やレポートで使いそうな文脈の例文を用意しましたので、是非ご自身でも色々いじって作文してみてくださいね。

INDEX

英語で倍数を表す方法

倍数表現の基本は as — as を使用した①の用法ですが、実用では比較級を使った②の形をよく使います。

  1. as 原級 as を使った表現
  2. 比較級(—er)を使った表現

まずはこの基本の形を下でおさらいします。

as 原級 as を使った基本の表現

倍数表現の基本型は次の形ですね。

S + V + [XX times] [as 形容詞(副詞)の原級 as] [比較対象]

2倍なら two times、3倍なら three times、50倍なら fifty times…というように、times の前に任意の数字を入れれば「〇倍」という表現ができます。

[as 原級 as] が単位でいう「1」だとイメージすると、数式みたいで分かりやすいと思います。この「単位」に当たる部分は、 as で形容詞(または副詞)の原級をサンドイッチして作ります。原級というのは比較級(—er)や最上級(—est)などと変形していない「基本の形」のことです。

Male students are three times as many as female students in this department.
この学部では、男子学生が女子学生の3倍もいる。

This speaker sounds ten times as clearly as that one.
このスピーカーは、あのスピーカーの10倍はクリアに聞こえる。

「2倍」の場合は、two times ではなく twice をよく使います。一語で済むので、2倍の場合はできればこちらを使いたいですね。

The new software processes these programs twice as fast as the previous one.
新しいソフトウェアは、従来の2倍の速度でこれらのプログラムを処理します。

〇倍の数字のところは算用数字にしてもOKです。小数や分数も使えます。

This year’s sales were 20 times as large as last year’s.
今年の売上は、昨年の20倍でした。

My brother’s lunch box is 1.5 times as big as mine.
兄のお弁当箱は私の1.5倍もあるんですよ。

The new model is two-thirds as costly as the previous model, though slightly sacrificing the size.
新モデルは、サイズを若干犠牲にしながらも、従来モデルの3分の2のコストに抑えています。

倍数の目的語が「名詞句」の場合は、as — as の中に「形容詞」だけではなくその形容詞の主体となる名詞も入れます。下の例文では、many だけでなく many female managers を、long だけではなく long lectures を as でサンドイッチします。

This company has twice as many female managers as male ones.
この会社では、女性の管理職が男性管理職の2倍います。

The advanced course has three times as long lectures as those in the introductory course.
上級コースでは、入門コースの3倍の長さの講義があります。

as — as の中に形容詞/副詞ではなく名詞句が入る場合、「名詞に付いている形容詞 as の直後に来る」ように冠詞と形容詞の語順が入れ替わるため注意が必要です(例:a high reputation → high a reputation)。

Our team experienced 100 times as serious a problem as such a problem.
私たちのチームは、そんな問題の100倍は深刻な問題を経験しました。

We earned twice as high a reputation as last year’s.
我々は昨年の2倍の高評価を得た。

比較級を使った倍数表現

倍数表現は上で紹介した「XX times as 原級 as YY」が基本の形です。まずはこの使い方を覚えましょう。

ただ、実用的なことを言うと、 as — as よりも次のように比較級を使う方が格段に多いです。比較級を使った方が少ない語数で書けるからかもしれません。実際、比較級を使った方が書き易い文章も多いと思います。

今まで「倍数表現」には「 as — as」を優先してきた人は、是非比較級を率先して使ってみてください。倍数表現がめちゃくちゃ楽になると思いますよ。

Foreign employees are three times more than Japanese ones at this company.
この会社では、外国人社員が日本人の3倍いる。

This smartphone application is ten times more popular than the one you use.
このスマホアプリは、君が使っているアプリの10倍の人気だよ。

The consumer’s satisfaction with our product was three times higher than our assumption.
消費者の満足度は、想定より3倍も高かった。

名詞や副詞にもそのまま形容詞として付けられます。上の as — as のところで見たような冠詞の語順の入れ替えなど余計なことを気にしなくて良いため、比較級を使った方が圧倒的に楽だと思いますよ。

This hall has a twice larger capacity than the one in A city.
このホールはA市にあるホールの2倍の収容人数があります。

We won the game with three times higher points than the other team.
相手チームより3倍も高い得点で勝利した。

He can solve this kind of problem ten times more quickly than me.
彼はこの種の問題を私の10倍早く解決できるよ。

Our research revealed that women are four times more likely to develop this clinical condition than men.
我々の研究で、女性は男性の4倍もこの臨床症状を発症しやすいことが明らかになった。

英語の比較構文で大事なのは「比較対象」の理解です。than の後ろに置く要素でミスをする人が多いので、比較対象・同列の理解が曖昧な方は是非下記で整理してみてください。

〇倍を表す英単語とその他の倍数表現

「XX times(XX倍)」という表現を使わなくても、一語で倍数が表現できる場合があります。また、上で紹介した構造を使わない倍数表現もあります。以下ではその例を見ていきましょう。

Double と Triple

是非使えるようになりたいのが「double」「triple」です。カタカナ語でもよく使いますよね。

double動詞で「2倍になる、2倍にする」という意味があります。動詞一語で倍数表現ができるため省エネで便利です。同様に、「3倍になる、3倍にする」は動詞の triple で表せます。

The number of clients doubled over a year.
顧客の数は1年間で2倍になった。

The new technology doubled the work efficiency compared with the previous technique.
この新技術により、作業効率は従来技術に比べ2倍になった。

Because of the TV commercial, the awareness of our company tripled just in a month.
テレビCMのおかげで、当社の認知度は1ヵ月で3倍になった。

Smoking triples the risk of developing this disease compared with non-smokers.
喫煙者は非喫煙者に比べ、発症リスクが3倍になる。

double も triple も、「動詞」だけではなく「名詞」「形容詞」としても使えます。

I liked the new computer for its performance, though it cost double the price of the previous one.
新しいパソコンは前のパソコンの2倍の値段でしたが、性能的には気に入っています。

The score of Team B was more than triple the score of Team A.
Bチームのスコアは、Aチームの3倍以上だった。

“more than” は厳密には「○○より多い」という意味です。普段の会話では「以上」で訳していい時もたくさんあると思いますが、数値の説明など厳密な理解が必要な場合もありますので、「以上」と「超」の区別はつくようにしておきましょうね。

詳しくは下記で説明していますので、気になる方はチェックしてみてください。

半数

2倍の逆で半数になる場合は、halve(半分になる、半減させる)という動詞一語で表せます。名詞・形容詞は half です。

The efficacy was halved when used improperly.
使い方を誤ると効果は半減した。

This exercise will halve the risk of chronicity of back pain.
この運動は、腰痛の慢性化リスクを半減させます。

Our school has only half the number of students of that school.
私たちの学校は、その学校の半分の生徒数しかいないのです。

X-fold(X倍)

数字に -fold を付けると、一語で〇倍と表すことができます。

例:twofold(2倍)、fivefold(5倍)、10-fold(10倍)、100-fold(100倍)

People with regular exercise had a twofold lower chance of having neck pain than those with no exercise habit.
定期的に運動している人は、運動習慣のない人に比べて肩こりになる確率が2倍も低かった。

Women have a 5-fold higher risk of this disease than men.
女性は男性に比べ、この病気のリスクが5倍も高いと言われています。

The applicants to this company became tenfold compared to last year’s, probably due to new TV commercials.
新CMの効果もあってか、応募者は昨年の10倍以上になった。

分数・百分率

分数とパーセンテージも倍数表現ですね。構文を使わなくても、単純に割合で表した方が簡単な場合もあります。

The risk of this health problem among children is about one-third of that among adults.
この健康問題のリスクは、子供の場合、大人の約3分の1である。

The size of this company is about two-thirds of B corporation.
当社の規模はB社の3分の2程度だ。

This storage has a 150% capacity of the previous one.
このストレージは、従来の150%の容量があります。

by で差分を表す

前置詞の by で「差分」を表すことができます。上で紹介したような比較の構文を使わなくても、差分で表現できる場合もあると思います。

The containment of vitamins was increased by 2.5 times while maintaining the price.
価格を維持したまま、ビタミンの含有量を2.5倍に増やしました。

The number of participants increased by 200% compared with last year.
参加者数は昨年比200%増となった。

倍数表現が役立つとき

何かを説明するときには数字を用いた方が具体性が増すため、倍数表現は色んな場面で役立ちます。

特にグラフや表の読み取り、データの説明をする際には必須と言っても過言ではありません。

グラフでは具体的なメモリが読めない時もありますしね。
そんな時に、「約〇倍」「〇倍以上」のような要約の仕方が役立ちます。

グラフの説明の仕方は「グラフ描写の例文集|英作文・英語論文で使える表現」でたくさん例文を紹介していますので、是非グラフを見ながら一緒に練習してみてください。

表の読み取りや説明に使える表現は「数値の説明に使う英単語|表読解・計算・統計量」で紹介しています。統計量やデータの指標に関する基本単語に自身の無い方は、一度確認してみてください。実際の用法を見ておくだけでも、英作の時に出てきやすくなると思いますよ。

おわりに

倍数表現は英作文やレポートでもよく使います。

教科書では as 原級 as の表現を最初に習いますし、これが基本ではあります。ただ、実際には比較級を使った方が書き易く、使用頻度も高いと思います。また、基本通りではなくても動詞や形容詞一語で表現できる場合もあります。

英文ではシンプルな表現の方が好まれます。是非、状況に応じて最適な表現方法を選んでみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
INDEX