前置詞の後ろは名詞(動名詞)|前置詞 to の後ろは -ing

「前置詞の後ろは名詞(動名詞)」

超基本的な英語の文法ルールですが、中学時代にこのルールを習った時の感動は今でも忘れられません。

何を大げさな・・・と思われる方もいるかもしれませんね(笑)。

でも実際、私はこのルールを知ってから英作が格段に楽になりました。だって前置詞の後ろに取れる要素はもう名詞だけ(動詞なら動名詞に変形)って限定されるんですから。

品詞が限定されれば、何を置こうか迷うことってほぼ無くなりませんか?

at, on, for, against, from などどんな前置詞にも適用されるルールで、一度覚えてしまえばとても便利です。

ただ、学校英語ではこれよりも「to 不定詞」を先に習う人が多いため、「前置詞の to」と「to 不定詞」とを混同してしまうケース(前置詞の後ろだから動名詞(—ing)にしないといけないのに動詞の原形を使ってしまうミス)というのは多い様に思います。

私も学生の頃は、contribute to の後ろに置く動詞を —ing 形に変形し忘れるミスをよく犯していました(笑)。

そこで今回は、「前置詞の後ろなのに動詞の原形を置いてしまいそうなケース」を幾つかピックアップしました。間違える人が多いため、英作文や穴埋め問題でも頻出です。

「いつもどっちか迷う」「自信が無い」という方は、「不定詞を使おうとして使っているのかどうか」という点を考えてみてください。もし違うのであれば、形が to なだけで、あくまでソイツは前置詞です。他の前置詞と同じように扱ってあげましょう。

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不定詞の to か、前置詞の to か?

学校英語ではかなり早い段階で「to 不定詞」を習うため、よく勉強した人ほど「to の後ろは動詞の原形!」というルールが染みついていると思います。

でも思い出してください。不定詞には用法がありましたよね(確か、名詞的用法、形容詞的用法、副詞的用法・・・?)。

「~すること」とか「~するために」とか、不定詞で表せることは決まっていたはずです。それを使いたい時に初めて「to 不定詞」を使います。その時だけ、to の後ろに動詞の原形を使うんです。

逆に言えば、不定詞を使う意図が無いなら、to は前置詞です。at や on などと同様、後ろは必ず名詞(動名詞)になります。

「前置詞の後ろは名詞(動名詞)」が大前提

to の後ろに —ing 形を取る動詞句やイディオムを「例外」として覚える人もいるようですが、私的には「前置詞の後ろは名詞(動名詞)」という基本ルールを軸にした方がシンプルでいいんじゃないかなと思います。むしろ「不定詞」が例外。

不定詞を使う意図があるときは「to + 動詞の原形」だけど、そうじゃないとき、あくまで前置詞の to を使っているだけなら、他の前置詞と同じように後ろには名詞(or 動名詞)が来る、と考えた方が楽な気がします。

ただ単に動詞や形容詞のあとに前置詞の to を付けているだけであれば、それはあくまで前置詞です。形が to なだけで、arrive at や put on の at や on などと同類です。

以下では、前置詞 to を伴う表現を見ていきます。メインの単語は動詞・形容詞・名詞など色々です。

look forward to:~を楽しみにする

まずはイディオムの “look forward to” です。「~を楽しみにする」という意味のフレーズです。手紙やメールなどでもよく使うため、例文まるごと覚えている人も多いかもしれません。

イディオムとして “look forward to” と3語セットで覚えていると思います。最後の to は不定詞を使いたいから付けている訳ではありません。つまり、これはただの前置詞の to です。

前置詞なので、後ろに動詞を置きたい場合は動名詞の形に変形させる必要があります。to は不定詞のつもりで使っている訳ではなくただの前置詞のため、二つ目の例文のように後ろに名詞を取ることもできます

I’m looking forward to hearing from you soon.
近いうちにお返事をお待ちしております。

We look forward to the concert.
コンサートを楽しみにしています。

contribute to:~に寄与する

contribute は「(~に)寄与する・貢献する」と言う意味の動詞で、「~に」という意味に前置詞の to を伴います。

「~に到着する」と言うときに arrive at と前置詞の at を用いるのと同じようなイメージです。

この to の役割は「~に」で、ただの前置詞です。

「~すること」という不定詞の名詞的用法で使っている訳ではないため、to の後ろには名詞も取れます。前置詞なので当然ですね。逆に、不定詞のつもりなら「to+名詞」なんて構造は成立しないはずです。

ただの前置詞なので、後ろに動詞を使う場合は動名詞形に変形します。

The campaign will contribute to reducing energy use.
本キャンペーンは、エネルギー使用量の削減に貢献するものです。

His performance significantly contributed to our team’s growth.
彼の活躍は、チームの成長に大きく貢献しました。

lead to:~に繋がる

contribute to と似たような文脈でよく使うのが、「~に繋がる」と言う意味の動詞 lead です。contribute と同様、「~に」という意味に前置詞の to を使います。

他動詞のため、to を使わず lead ○○ と直接目的語を取ることもできますが、この場合は「○○をリードする、先導する、引っ張る」のような意味になります。

「~に繋がる」という意味にしたい時は、前置詞の to を忘れないようにしましょう。

Continuous efforts will lead to improving your skills.
継続的な努力がスキルアップにつながる。

The advertisement led to the widespread use of this application among all ages.
この広告をきっかけに、幅広い世代にこのアプリケーションが普及することになりました。

devote A to B:AをBにつぎ込む、ささげる

devote は、「(~に)充てる・つぎ込む・(自分自身を)専念させる」という意味の動詞です。この動詞も、「~に」という意味に前置詞の to を伴います。

devote A to B で「AをBにつぎ込む」という形で使うことが多く、また「専念する」という意味では “devote oneself to XX” の形で使うことが多いです。

ただ、ここでは to B は「to 不定詞」を意図している訳ではないため注意が必要です。この to はあくまで「~に」という意味のために使っているだけです。

不定詞ではないため、下の二つ目の例文のように to の後ろに名詞を取ることができます。動詞を使いたい場合は動名詞形に変形します。

She devoted herself to developing this software.
彼女は、このソフトの開発に心血を注いだ。

I plan to devote my whole vacation to English study.
休みは全て英語の勉強に充てるつもりです。

dedicate A to B:AをBにささげる

似たような意味の動詞に dedicate(献身する、ささげる)があり、これも dedicate A to B の形で「AをBにささげる」という意味で使います。

この to も「~に」という意味の前置詞で使っているだけなので、to 以下には名詞が取れますし、動詞を使いたい時は動名詞にする必要があります。

They dedicated themselves to improving the work environment.
彼らは、職場環境の改善に全力を尽くした。

He dedicated ten years to this project.
彼はこのプロジェクトに10年を捧げた。

名詞形の dedication にした場合も、「~への献身」という意味にするには前置詞の to を使います。

I really admire their dedication to saving people’s lives at all costs.
何としても命を救おうとする彼らの姿勢は、本当に尊敬に値します。

object to:~に反対する

object は名詞の方がよく使う気がしますが、「反対する」という意味の動詞でもあります。

前置詞 to を伴い、「~に反対する」という意味になります。

この to は不定詞の to ではないため、「計画に反対する」「提案に反対する」のように、to の後ろに名詞を取ることができます。動詞の意味を使いたいときは、動名詞形にすれば「~することに反対する」という内容が表せます。

About 70% of our employees object to relocating the headquarter.
約7割の社員が本社移転に反対しています。

They strongly objected to our proposal.
私たちの提案に強く反対した。

be opposed to:~に反対している

oppose は「反対する」という意味の他動詞で、形容詞形の “opposed” は「反対した、対立した」という意味になります。

この形容詞の opposed は “be opposed to” の形で「~に反対する」という意味でよく使います。

この to もこれまで見てきた例と同じで、「~に」という意味役割を果たす前置詞です。「~すること」という不定詞の意味で使っている訳ではありませんので、to の後ろは動詞の原形にはなりません。

He is opposed to expanding our business.
彼は、ビジネスを拡大することに反対している。

I am entirely opposed to his idea.
私は彼の考えに全面的に反対です。

be used to:~に慣れている

“be used to” は、「~に慣れている」という意味を表すフレーズです。

この to は不定詞の to ではありません。不定詞だとすると、「~するために使われる」という通常の use の受動態の文章と区別が付かなくなってしまいます。

“be used to” というカタマリでイディオムとして覚えてしまうとよいでしょう。

あくまでこのカタマリで意味を成すもので、不定詞を使う意図はありませんよね。つまりこの to は前置詞ということになります。前置詞なので、to の後ろに名詞を置くことも可能です。

She is used to teaching kids.
彼女は子供たちに教えることに慣れている。

I need to get used to oral presentations.
口頭発表に慣れる必要がある。

be動詞の部分は get, become などの一般動詞でも可です。

be accustomed to:~に慣れている

“be used to” と同義で「~に慣れている」という表現には “be accustomed to” もあります。

考え方はこれまでと同様で、この to は「~に」という意味で使っているだけです。前置詞なので後ろに名詞を取ることができますし、動詞の意味を入れたいときは動名詞形にします。

I am accustomed to arranging this kind of event.
この手のイベントの手配は慣れている。

He seems to get accustomed to life in France.
フランスでの生活にも慣れてきたようです。

be subject to:~にさらされる

形容詞の subject は “be subject to” の形で「~にさらされる、~を被る」という意味でよく使います。

to の後ろは名詞が来ることがほとんどですが、もし動詞の意味を持ってきたい場合は動名詞形にすれば使えます。この to は、あくまで「~に」という意味のただの前置詞ですからね。

Anyone who breaks the rule will be subject to being banned.
ルールを破った人は、出入り禁止になる可能性があります。

The timeline is subject to change.
タイムラインは変更される場合があります。

approach to:~への取り組み

名詞の approach は「アプローチ、取り組み」という意味で日本語でも使いますが、「~への取り組み」と言いたいときは後ろに前置詞の to を伴い、“approach to XX” と表します。

to を伴うことを知らないと、「~するための approach」という不定詞の形容詞的用法を使ってしまいがちです(←私のことです。笑)。

「approach to 名詞」が可能であることを覚えておくと、approach の後ろには to 不定詞ではなく「前置詞の to」を使うことが思い出せると思います。

This must be a great approach to achieving our goal.
これは、目標を達成するための素晴らしいアプローチに違いありません。

He proposed unique approaches to the sales increase.
売上アップのためのユニークなアプローチを提案した。

prior to:~に先立って

最後は熟語の “prior to” です。「~の前に、~に先立って」という意味です。

ライティングでは一語で済む “before” を使う方がbetterですが、prior to が好きな人もいるので念のため紹介しておきます(笑)。

“prior to” のカタマリで前置詞として捉えている人も多いかと思いますが、その認識でOKです。to は前置詞のため、後ろは名詞か、動詞を使いたいときは動名詞形に変形します。

Students need to submit an application form prior to taking the course.
受講者は、受講前に申込書を提出する必要があります。

People received medical checks prior to vaccination.
ワクチン接種の前にメディカルチェックを受けた。

おわりに

“look forward to” “contribute to” “lead to” など、動詞や形容詞と一緒に前置詞の to を伴う表現はいくつかありますが、この to を「不定詞の to」と混同してしまうミスが英作文ではよくあります。

迷う場合は、不定詞をわざわざ使っているのか、単に「~に」や「~への」という意味の前置詞で使っているだけなのかを考えてみましょう。「to+名詞」という構造が成立するなら、前置詞のはずです。

「前置詞の後ろは名詞」で、これはもちろん to にも当てはまる前置詞の共通ルールです。このルールが体に馴染むと英作は一段階楽になると思います。

今まで品詞にあまり注目してこなかった人は、ぜひこの機会に注目してみてください。

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