英作文の授業ではあまり「書き方のルール」を教わりませんよね。
英作文の添削をしていると、構文や語彙などの知識ではない「書き方のルール」の部分で減点になってしまう惜しいケースをよく目にします。
でもこれは、ただ単純に知らないだけ。一度知りさえすれば気を付けられます。
そこで今回は、英作文を書くなら是非知っておきたい『スーパーベーシックな英作文のルール』をおさらいします。
どれもテクニックは不要で、今日から実践できるものばかりです。

是非この機会に「書き方のルール」を覚えてしまいましょう
英作文で守るべき「8つのルール」
今回お伝えするのはこの8つのルールです。
- 文頭で But を使用しない
- Because で始まる従属節のみで文章を終わりにしない
- コンマは自由に打ってはいけない
- 好きなところで改行しない
- ひとつの単語を二行に渡って書かない
- いきなり略語は使わない
- 文頭で数字は使わない
- ローマ字だけで終わらせない
ひとつずつ下で説明していきますね。知らないものがあれば是非チェックしてみてください ^^
文頭で But を使用しない
まず覚えて欲しいのは、文頭では But は使用しないということです。
「but」は「等位接続詞」で、文と文を繋ぐものだからです。
下の例文では、二つの節(文)を but が繋いでいますね。これが「等位接続」の役割です。
- I went to the bookstore, but I couldn’t find the one I wanted.
(本屋さんに行ったけど、欲しかった本が見つからなかった。)
一方、下の例では But は文頭に置かれており、前の文と後ろの文を「接続」していません。そのため、この用法は正しくないのです。
- I went to the bookstore.
ButI couldn’t find the one I wanted.
「 but =しかし」と覚えていると何の違和感もありませんが、等位接続詞の役割を考えると理解できると思います。
カジュアルな文章では but で始まる文章もたくさんあります。会話やメール・チャットでは文頭で使っても問題ありません。でも、英作文ではフォーマルで正確な文章を書く必要があるため、文頭での使用は認められません。
上で「 but = 文と文を繋ぐもの」と説明しましたが、もちろん but は句と句を繋ぐこともできます。「等位」というのは「同じ品詞・構造のもの」という意味です。文と文、名詞と名詞、前置詞句と前置詞句などというように、同じ構造のもの同士であれば何でも繋ぐことができます。
等位接続詞のため「but」は文頭では使えないということでした。同じ理由で、「and」も等位接続詞のため文頭では使用しません。一緒に覚えておきましょう。
等位接続詞は文頭では使用しない。
逆接で文章を始めたいとき
「but」で文が始められないとなると、「逆接」の文章を作りたいときに書き出しに困りますよね?
逆接で文章を始めたい場合は、副詞の「However」を使いましょう。等位接続詞ではないため、文頭で使っても問題ありません。
- I went to the bookstore. However, I couldn’t find the one I wanted.
(本屋さんに行った。しかし、欲しかった本は見つけられなかった。)



However のように文頭で使えるつなぎ言葉は「英文エッセイでよく使う文頭フレーズ&つなぎ言葉」で紹介しています。


Becauseで始まる従属節のみで文章を終わりにしない
二つ目のルールは、接続詞「because」の用法に関するものです。
「because(~だから)」は次の形で使用しますね。
- Because S + V …, S + V ~
- S + V ~ because S + V …
because で導かれている青字の節が従属節、赤が主節です。
【補足】
Sは主語、Vは動詞です。S + V ~ の構造を「節(せつ)」と言います。
この基本形で使えば何の問題もないのですが、たまに従属節のみでピリオドを打ってしまう人がいます。
しかし、Because で始まる従属節のみで文を切るのは止めましょう。
「従属節のみの文章」というのは、”Because I love music.” のようなものです。
「だって音楽が好きだから。」で意味的には成立していそうですよね。でも、これだけだと主節が無いため、「だから何なのか?」が分かりません。
「but」の時と同様、口語やカジュアルな文脈ではもちろん「だって~だから」だけでも成立します。しかし、「きちんとした」文章を書くことが求められる英作文では許容されません。
英作文やフォーマルな文章では従属節だけで文を終わりにせず、必ず主節も書きましょう。
- I want to be a singer because I love music.
(音楽が好きだから、歌手になりたい) - Because this plan is impractical, we should change it.
(この計画は非現実的だから、変えるべきだよ)
従属節のみでは文は成立しない。Because 節のみで文を終わらせず、必ず主節も書くこと。



このルールは because だけではなく、if や although などで始まる従属節(~だけど、もし~なら、~にもかかわらず等)すべてに当てはまります。
「Because は文頭で使用してはいけない」と解説しているサイトもありますが、そんなことはありません。例で挙げたように、Because の従属節に続けて主節をきちんと書いていればもちろん OK です。文頭使用がダメなのではなく、「従属節しかなく、主節が無いもの」がダメなだけです。
コンマは自由に打ってはいけない
日本語の読点と同じように、息継ぎ感覚で好きなところで「コンマ(カンマ)」を使っている人がいます。
しかし、コンマは好きなところで自由に使っていいものではありません。
使用法は文法で決まっており、基本的には以下の場面で使います。
1.節と節を繋ぐとき
I had lunch, but I’m already hungry.
お昼ごはん食べたのに、もうお腹すいた。
2.句を繋ぐとき
I love music, movies, and online games.
音楽と映画とゲームが好き。
3.句を挿入するとき
I like sports, such as tennis and soccer.
テニスやサッカーなどのスポーツが好きだ。
日本語と同じ感覚で「but」や「and」の「後」に置いてしまう人がたまにいますが、これは間違いです。いつもコンマが必要な訳ではありませんが、置くとしたら接続詞の「前」です。気を付けましょう。
- I like music but, I don’t like to sing in front of people.
- I like music, but I don’t like to sing in front of people.
コンマの使い方は文法で決まっている。好きなところで使ってはいけない。


好きなところで改行しない
日本語の「段落」と英語の「パラグラフ(段落みたいな文章のブロック)」は意味が異なります。
日本語では、話の区切りがいいところや段落を変えたいなと思ったところで自由に新しい段落を作ることができます。でも、英語のエッセイでは自由に改行してはいけません。(メールやレターなどでは見やすさが大事なので改行の自由度は高いです。ここでいう「改行」は、エッセイのパラグラフ作成のことを指しています。)
英語のパラグラフは「意味単位」の塊で、1パラグラフにつきトピックは一つと決まっています。
パラグラフライティングの詳しい説明は今回のトピックとは逸れるので省きますが、とにかく「何となくの雰囲気で段落を作ってはいけない」ということを覚えておきましょう。
中学校の英作文ではそんなに語数の多い課題はありません。パラグラフを意識しないといけない場面はほとんどありません。数百語前後の自由英作文であれば改行なしで続けて書いてしまって大丈夫です。(パラグラフ構成が必要なレベルの英作文であれば、指示文に説明があると思います。)
日本語の段落と英語のパラグラフは意味が異なる。気軽に改行して新しい段落を作ってはいけない。
ひとつの単語を二行に渡って書かない
日本語の文字は一文字ずつ読めるため、どこで次の行に渡っても大丈夫ですよね。
一方、英語のアルファベットは「カタマリを形成して初めて意味を成す(読み方が決まる)」ものなので、常に「カタマリ」が分かる状態で記載しないといけません。「カタマリ」を途中で切って二行に渡って書いてはいけないのです。
その行内に頑張って収めるか、書ききれないと思ったら次の行から書き出しましょう。
- ~~~ ~~ ~~~~. I went to the supermar
ket with my mother yesterday, and ~~~
- ~~~ ~~ ~~~~. I went to the
supermarket with my mother ~~~
パソコンだと自動で処理してくれるため、手書きならではの問題ですね。学校の英作文では手書きが主流だと思いますので、是非覚えておいてください。
なお、パソコン入力ではハイフンを付けて二行にわたって書く処理もできますが、手書きでは止めた方が無難です。読み辛いですし、次の行から書き始めた方が安全ですよ。
英語の単語は同じ行で書ききる(書ききれないときは、次の行から書き始める)。
いきなり略語は使わない
IT、PC、BBQ、などなど・・・。日常に馴染んでしまっている英語表現はたくさんありますよね。
日常生活でよく使う略語をそのまま使いたくなってしまう気持ちはすごく分かります。でも、英作文ではいきなり略語を使うのは止めましょう。
問題文で使用されている略語はそのまま使っても問題ありません。しかし、問題文に出ていない略語を使う場合は必ず最初に定義しましょう。
自分としては「一般常識」だと思うようなものでも、他の人は知らないかもしれませんし、何か別のものと勘違いされてしまう可能性もあるからです(そのせいで減点されてしまうかもしれません)。
どうしても略語を使いたい時は、下の例のように初出の際にスペルアウトしたあとで括弧に略語を入れます(これで定義したことになります)。
I bought a new personal computer (PC). The PC enhanced my work efficiency.
新しいパソコンを買った。そのパソコンのお陰で仕事の効率が上がった。
ちょっとした気遣いですし、アカデミックなライティングでは基本ルールです。これから高校・大学でも英語のエッセイを書くことはあると思いますので、是非今のうちに習慣にしてしまいましょう。
略語を使う時は最初にスペルアウトして定義する。
文頭では数字は使わない
数字というと分かり辛いかもしれませんが、アラビア数字(0とか5とか)を使わないという意味です。文頭では数字は使わず、数で始まる場合はスペルアウトしましょう。
製品の15%が壊れていた。
15%of the products were broken.
- Fifteen percent of the products were broken.
24人の生徒がその試験を受けた。
24students took the exam.
- Twenty-four students took the exam.
数字の前に何か単語がついている場合は「文頭」とは言わないのでそのままで大丈夫です。
Over 60% of our students knew the news.
6割を超える生徒がそのニュースを知っていました。
About 15 people were on the bus.
バスには15人くらい乗っていた。
文頭に数字が来る場合は、アラビア数字を使わずにスペルアウトする。
ローマ字だけで終わらせない
最後は文法というより内容的なルールです。
特産品や地元の有名スポットの名称など、英訳が出来なくてローマ字で書くしかないときってありますよね。
ローマ字を使うこと自体は全然問題ないのですが、それだけで説明を終わらせるのは危険です。読者に伝わらない可能性が高いからです。「ローマ字」だけで終わらせることはやめましょう。
例えば、下の文章を読んだとき。
I’m happy because my sister bought me “akizuki.”
妹が『アキヅキ』買ってきてくれたから嬉しい。
『アキヅキ』って何?!ってなりませんか?
地元では誰もが知っているお菓子とか特産品、名所、行事など、ローマ字でしか表しようのないものはたくさんあると思います。でも、自分たちにとっては「知っているのが当たり前」なものでも、他の人にとっては未知のものもあるはずです。
「ローマ字」にしただけでは、それが何か伝わらない可能性があります。
そのため、正式名称など寧ろどうでもいいので、「伝える」ための工夫をしましょう。
例えば『アキズキ』なるものがお菓子なら、固有名詞ではなくそれを一般的な名詞で置き換えてしまった方が伝わります。
I’m happy because my sister bought me my favorite sweets.
妹が私の好きなお菓子を買ってきてくれたから嬉しい。
あるいは、ローマ字で書いた後に補足説明を追加してもいいですね。
I’m happy because my sister bought me “akizuki,” a famous food in A city.
妹が『アキズキ』というA市で有名な食べ物を買ってきてくれて嬉しい。
説明の仕方は何でもいいですが、ローマ字だけで終わらせず、伝えるための工夫をしてあげましょう。文法的には間違いが無くても、内容が伝わらなければ減点になってしまう可能性があるからです。
難しく考えすぎなくて大丈夫です。決して具体的に説明する必要はありません。
この例でいえば、食べ物なのか?本なのか?くらいのザックリしたレベルの情報が伝えられれば十分です。目安としては、それが「何か」さえ伝われば OK ですよ。
「ローマ字」では説明したことにならない。簡単で良いから、それが何を意味するのかが分かるような英語の説明を追加するか、英語の表現に書き換えること。
英作文が苦手な人へ:発想を柔らかくするコツ
「難しい英文を書こうとし過ぎて失敗してしまう人」「自分の書きたいことが思うように書けなくて困っている人」は多いですが、これは発想次第で解決できる可能性があります。
表現したい和文を柔軟に変えられるようになると英作文がぐっと楽になります。この思考のコツは下記で説明していますので、英作文が苦手な方は是非チェックしてみてください。


英作文のレベルを上げるために、次に気を付けたいコト
ここまでに紹介した8つのルールに注意するだけでも減点が減る人はいると思います。
英作文のレベルをもう少し上げたい人は、「単調さ」からの脱却を意識して見ましょう。つまり、「同じ文章の繰り返し」や「同じ表現の繰り返し」を避けるということです。
I think の多用を減らす
自分の考えや意見を書こうとすると、どうしても “I think” で文を始めることが多くなりますよね。使ってはいけない訳ではありませんが、あまり続くと不自然です。
“I think” の繰り返しが減るとぐっとレベルアップして見えます。代替表現については下の記事で説明していますので、think の多用に悩んでいる方は参考にしてみてください。
同じ文章を繰り返さない
英語の自由英作文やエッセイでは、同じ文章(表現)の繰り返しは厳禁です。メインの主張は繰り返し述べますが、言いたいことは同じでも「違う表現」をしなければいけません。この言い換えのことをパラフレーズと言います。
まずは文法を固めて「作文」出来るようになることが最優先ですが、英作文に慣れてきたらパラフレーズを覚えましょう。下記では具体的にパラフレーズした方がいい場所と方法を説明しています。
おわりに
今回は、英作文を書く上で知っておきたい8つのルールをおさらいしました。
- 文頭で But を使用しない
- Becauseで始まる従属節のみで文章を終わりにしない
- コンマは自由に打ってはいけない
- 好きなところで改行しない
- ひとつの単語を二行に渡って書かない
- いきなり略語は使わない
- 文頭で数字は使わない
- ローマ字だけで終わらせない
知っていれば明日からでも対応できるものばかりです。
今まで気にしていなかったものがあれば、是非これから気を付けてみてくださいね。

