コンマを使うべき箇所&使ってはいけない箇所

英語の句読点で一番よく使うのに、ぞんざいに扱われがちなコンマ。笑

コンマ(,)の使い方は学校英語ではあまり注目されないため、地味キャラ扱いも仕方ないかもしれません。

ですが、コンマは用法(使うべきとき、使ってはいけないとき)が決まっています。日本語の読点(、)のように息継ぎ感覚で好きに使っていいものではありません。

英作文の添削をしていると、コンマ抜けや不必要な箇所での使用が目立ちます。

そこで今回は、

  • コンマを使うべきところ
  • コンマを使ってはいけないところ

の2点を確認したいと思います。

ルールは限られていますので、一度覚えてしまえば何てことないと思います。今まで気にしたことが無かった人はこの機会にぜひ注目してあげてください。^^

INDEX

コンマが必要な場面

まずはコンマが「必要な」ケースから見ていきましょう。

コンマの漏れは立派な文法ミスですよ。

Serial Comma

まずは学校英語でも習う「serial comma」です。

3つ以上の単語、句、節を「A, B, C, and D」のように並べるときに、andの前に置くコンマのことです。

I enjoy reading novels, watching movies, and blogging in my free time.
趣味は小説を読むこと、映画を見ること、ブログを書くことです。

Internet devices include computers, smartphones, tablets, and smart speakers.
インターネットデバイスには、パソコン、スマートフォン、タブレット端末、スマートスピーカーなどがあります。

上のように単語や名詞句の羅列だけでなく、下のように節を3つ以上並べるときも忘れないようにしましょう。

My mother went shopping, my brother went to the gym, and my father went for a walk.
母は買い物、兄はジム、父は散歩に行った。

and ではなく or で並べるときもルールは同じです。
3つ以上の要素を並べるときは or の前にコンマを置きます。

ちょっとトリッキーなのが下のようなケースです。

The breakfast included toast, salad, and bacon and eggs.
朝食には、トースト、サラダ、ベーコンエッグが含まれていた。

bacon and eggs(ベーコンエッグ)はこれで1つの要素(モノ)なので、最後の要素の “bacon and eggs” の前の and の前にコンマが入っています。

こういうケースはまれだと思いますが、「○○ and ○○」でひとつの言葉のときは、このまとまりで考えてあげましょう。

Serial comma は絶対的なルールではないと主張する人がいますが、普段ライティングする上で気にする必要はないため無視しましょう。

実際 AP style ではシンプルな文では serial comma が無くてもOKなので、新聞や雑誌では serial comma が無い文章に遭遇することがあるかもしれません。ただこれば、読んだときに「無い可能性もある」というだけです。

Capitalization や heading、ハイフンなど、文書全体の書式を AP style に従って作成する場合は serial comma を使わない文章があってもいいと思います。そうではないなら我々には関係ない例外です。

AP style の他にも serial comma を使っていない場面はありますが、「コンマが無い文章もある」という認識があれば十分で、我々が文章を書くときに気にすることではありません。

Coordinate Adjectives

名詞を2つ以上の「等位」の形容詞で修飾するとき、形容詞の間にコンマを使います。

注意すべきは、形容詞が等位の関係であることです。

  • 形容詞を入れ替えても意味が成り立つ
  • 形容詞の間に and を入れても意味が成り立つ

上が成立する場合は、その形容詞は等位と考えてOKです。

Mary is a gentle, friendly teacher.
メアリーは優しくフレンドリーな先生です。

My boss assigned me to a complicated, long-term project.
上司から複雑で長期にわたるプロジェクトを任された。

入れ替えると意味が変わってしまう(成立しなくなる)場合は coordinate adjectives ではありませんので、コンマでは繋ぎません。

  • She is an experienced, English teacher.

上の文では、experienced English teacher とは言えますが English experienced teacher はおかしいですよね。

この形容詞2つは coordinate adjectives ではないため、形容詞が連続しますが間にコンマは入りません

  • She is an experienced English teacher.

等位接続詞で繋いだ独立節

and, but, so などの等位接続詞で独立節を繋げるときには原則としてコンマを使います。

  • 各節が短くシンプルな場合は and や but の前のコンマを省くときもありますが、まずは原則を覚えることをおすすめします。

I enjoyed the concert, but my brother did not like it.
私はコンサートを楽しみましたが、弟は気に入らなかったようです。

She had a headache, so she had to cancel the dinner.
彼女は頭痛がしていたので、夕食をキャンセルしなければならなかった。

句や節のはじめ・終わり

従属接続詞(if, although, because, since, when, where, whereas, while)で文を始めるときは、従属節(導入節)の終わりにコンマを入れて、主節とは切り離します。

Because I want to study math more, I applied for the summer course.
数学をもっと勉強したいので、夏期講習に申し込みました。

Although food delivery services are convenient, they are too expensive for me.
食材の宅配サービスは便利ですが、私にとっては高すぎます。

節ではなく導入の句で始まる場合も、導入句の後ろにコンマを入れて主節とは切り離します。

For all the participants, a medical check was performed before the study treatment.
すべての参加者について、試験治療前にメディカルチェックを行った。

Considering his comment, we should change our plan.
彼のコメントを考えると、計画を変更すべきだろう。

If available, they would probably give you some samples.
もしあれば、サンプルをくれるでしょう。

導入句(節)が文末に来る場合

導入句(節)が文末に来るときは、ルールが変わります。

  1. 文末の導入句(節)が制限的(必須)な場合はコンマは使いません

I cleaned my room because my friend will visit me tomorrow.
明日友達が遊びに来るので、部屋の掃除をしました。

You may use my computer if you can give it back to me by 4 pm.
午後4時までに返していただければ、私のパソコンを使ってもかまいません。

  1. 文末の導入句(節)が非制限的(非必須)の場合はコンマで区切ります

He attended the online meeting, although he was ill.
彼は、体調を崩していたのにオンラインミーティングに参加してくれた。

対比

「○○じゃなくて××」と説明するときは、コンマに続けて “not ○○” と並べてしまいます。

The conference will be held on Thursday, not Wednesday.
会議は水曜日ではなく、木曜日に開催されます。

He approved it, not his boss.
上司ではなく、彼が承認したのです。

割り込み要素の区切り・囲い込み

挿入句や補足など、さまざまな要素を文に添加・挿入するときに区切りとしてコンマを使います。

このパターンはたくさんあるのですべては網羅できませんが、メジャーなものを見ていきましょう。

同格の要素

同格の要素を挿入するときのように、文章に必須ではない情報(非制限的なもの)を入れるときはその要素の両端をコンマで囲みます。

She travels to Hokkaido, the northern island of Japan, this season every year.
彼女は毎年この季節になると、北の大地、北海道を訪れる。

Mr. Tanaka, our music teacher, also teaches guitar to adults outside the school.
音楽の田中先生は、学校外の大人にもギターを教えているんですよ。

要素がその文章にとって必須の情報(制限的なもの)の場合は、コンマは使いません。

  • J.K. Rowling is the author of the world-famous fantasy novel Harry Potter.
    J.K.ローリングは、世界的に有名なファンタジー小説「ハリー・ポッター」の著者です。

従属節が文中に入るとき

従属節については既に上で見ましたが、非制限的な従属節が文章の両端ではなく文章中に来る場合は、節の両端をコンマで挟みます。

He often uses food delivery, though it is costly, because he likes the idea of buying time and convenience.
彼は時間と利便性を買うという考えが好きで、コストはかかるがデリバリーをよく利用するそうだ。

関係節の非制限用法

関係節を非制限用法で用いるときは関係詞の前にコンマが必要です。

英作文を見ていると、非制限用法のつもりなのにコンマを付けない人が結構います。

コンマの有無で意味が変わるため要注意です。

I live in Tokyo, which is the capital of Japan.
私は、日本の首都である東京に住んでいます。

関係節の前のコンマは覚えていても、節の終わりのコンマを忘れてしまう人も意外と多いです。

非制限用法の関係節が文章の途中に入る場合は、節のはじめと終わりにコンマが必要です。

Mr. Hayashi, who teaches math at our school, was previously a computer engineer.
本校で数学を教えている林先生は、以前はコンピュータエンジニアだった。

This book, which I borrowed from my little brother, made me a big fan of this author.
弟から借りたこの本で、私はこの作家の大ファンになりました。

非制限用法ではない場合は、もちろん関係節の両端にコンマは必要ありません。

  • He teaches students who are at the intermediate level but does not accept beginners.
    彼は中級レベルの生徒を教えるが、初心者は受け入れない。

制限的か非制限的かは、その文章に必須の情報かどうか(取っても成立するかどうか)で考えます。

分詞・前置詞句

分詞句や前置詞句が文章の途中に入るときも、上で見た「制限的か、非制限的か」のコンマのルールが通常は適用されます。

The item score, ranging from 0 to 10, indicates the level of satisfaction for the item.
項目得点(0~10点)は、その項目に対する満足度です。

The customer, showing his anger on his face, became calm when they called the police.
怒りを顔に出していた客も、警察を呼ぶと冷静になった。

分詞句や前置詞句は全てコンマで挟まなければならないわけではありません。必須の要素の場合はコンマは付けません。

  • Twenty-five people aged from 20 to 45 years participated in the study.
    20歳から45歳までの25名が参加した。
  • The data calculated using this formula may be incorrect.
    この計算式で算出されたデータは間違っているかもしれない。

移行句など

このほか、移行句など(consequently, for example, of course, furthermore, however, in addition, nonetheless, therefore, thus など)も文中で使う場合はコンマで挟みます。

The procedure, however, would take time.
しかし、その手続きには時間がかかります。

We should, therefore, examine the relationship thoroughly.
したがって、その関係を徹底的に検証する必要があります。

慣用的な用法

住所・県名など他にもコンマを使う場面はありますが、全ては網羅できないのでここではよく使う日付の記載をピックアップします。

年月日をフルで書くとき、「日にち」と「年」の間にはコンマを入れます。数字が続くと切れ目が分かり辛いですからね。

Please return the form by August 31, 2022, to proceed with your application.
2022年8月31日までにご返送いただき、申し込みを進めてください。

ただし、年と月だけの場合はコンマは不要です。

This service started in April 2022.
このサービスは2022年4月に開始しました。

コンマを使ってはいけない場面

最後に、コンマを「使うべきではない」場面を確認しましょう。

主語と動詞を分離しない

述語が等位接続語で繋がれていて複数ある場合は多いですが、このとき、原則として述語をコンマで分離してはいけません

She read the book and recommended it to her sister.
彼女はこの本を読み、妹に薦めた。

上の文章では動詞(述語)が read と recommended の二つありますが、どちらも She の述語です。and の前にコンマを入れて、主語と述語を分断してはいけません。

  • She read the book, and recommended it to her sister.

このように短い文ではコンマ無しで書くのに違和感は無いと思います。

しかし、下のような文章になるとどうでしょうか?

She read the article about the impacts of social media on mental state and summarized the content to present it in class.
ソーシャルメディアが精神状態に与える影響についての記事を読み、クラスで発表するために内容をまとめた。

The results of this study indicated the effectiveness of this method for improving physical function and corroborated the findings of previous small studies suggesting its potential.
本研究の結果は、この方法の身体機能改善効果を示し、同可能性を示唆する過去の小規模研究の結果を裏付けるものであった。

主語に対して述語が二つという同じ構造なのに、長くなると and の前にコンマを入れてしまう人は意外と多いと思います。

長すぎてどうしても読み辛い場合などにコンマが入る場合はありますが、原則的にはこのような構造ではコンマは入れません。

私は未だによくここにコンマを入れてしまい、英文校正で直されます。笑

ただし、例外はあります。

ただ「長いから」といって安易にコンマを入れるべきではありませんが、コンマが無いと誤解しそうな場合や、もう一度戻って読み直さないといけない危険がある場合は、「分かりやすさ」を優先するためにコンマが使われることはあります。

A new technology drastically changing people’s lifestyles and habits increases the chance of growth, and changes the company’s self-recognition in addition to people’s expectation.
人々の生活や習慣を大きく変える新技術が生まれると、成長の可能性が高まり、人々の期待に加え、企業の自己認識も変わってくる。

上の文章では results が “chance” の目的語ではないことが瞬時に分かるように、原則に反して and の前にコンマを使用しています。

この例もそうですが、result, impact, change, influence など、名詞と動詞の形が同じ場合は特にコンマが無いと紛らわしい場合もありますよね。

わざわざ読み返さなくても済むよう「分かりやすさ」を優先する場合は、この構造でもコンマの使用が許容されることがあります。(推奨している訳ではありません。)

動詞と目的語・補語を分断しない

こちらは間違える人はあまりいないと思いますが、動詞の目的語・補語が複数ある場合も、間にコンマを入れて動詞と目的語を分断してはいけません。

My brother complains about the long working hours and the worse interpersonal relationships within the company, especially with people in different departments.
兄は、労働時間が長いこと、社内の人間関係(特に違う部署の人たちとの関係)が悪いことを不満に思っています。

長いからといって and の前にコンマを入れてしまわないように注意しましょう。

おわりに

普段めったにフォーカスされることのない「コンマ」の用法を整理してみました。

日本語の読点「、」のように気軽に使われがちですが、実は自由度は少ないです。

全ての文法事項を網羅できている訳ではありませんが、主要なルールや間違いが多い用法は取り上げています。

ここに挙げたものを身に付ければコンマで悩むことはほとんどなくなると思いますので、今まで気にしていなかった点があった方は是非今後意識してみてください。

その他の句読点については過去に整理していますので、ご興味があれば下記もご覧ください。

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