無生物主語の文章の作り方:ポイントは作用主・被作用主のイメージ

「Ⅰ」や「We」で始まる文が多くて、くどい?

言いたいことは表現できるけど、受動態の文章が多くてまどろっこしい。

こういう悩み、結構あるあるだと思います。

日本語を直訳的に英語にしようとする発想だと、人間主体で受動態の文章が多くなりがちです。

無生物主語の発想ができれば、同じ意味の文章をもっとシンプルに書けるようになりますよ。

人称代名詞で始まる文ばかりではなくなるため、文章のバリエーションも豊かになります。

そこで今回は、無生物主語の文章が作りやすくなる主語設定のイメージをお伝えしたいと思います。

普段のライティングで受動態が多いなと思う方は、ぜひ無生物主語をガンガン使っていきましょう!^^

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無生物主語とは

無生物主語(構文)とは、広義ではその名の通り「生きていないもの」が主語(の文章)です。

日本語にも普通にあります。

例:京都は世界中の人を魅了する。/このカメラは夜景もクッキリ綺麗に写せる。

狭義では、「意思のない非生物が『~させる』などの使役的な動詞を取っている文」を指すようです。(「無生物主語構文=日本語にはない表現」と言われるのは、このためだと思います。)

例:This news made me happy!このニュースは私をハッピーにした)

ですが、この学問的な分類名(?)は実用においては全く意味が無いので忘れましょう(笑)。あくまで主語は主語です。

人だろうが動物だろうが機械だろうが、
食べ物だろうが景色だろうが出来事だろうが、
目に見えようが見えなかろうが、
触れられようが触れられなかろうが、、、
主語は主語です。

「人か、それ以外か」・・・で分ける必要性などありません。

主語の意味さえ理解できれば、無生物主語の文章作りは何も難しくありませんよ。

無生物主語を用いるメリット

考え方の説明をする前に、無生物主語を使うことのメリットをお伝えしておきます。

無生物主語を使うメリット
  • 人称代名詞が主語の文章が減るため、文章が単調にならない
  • 「私が、私が…」のくどい感じが抑えられる
  • 長く回りくどい受動態の文章が減り、vivid でシンプルな文章が増える

これはもう、ガンガン使っていくしかないですよね。

主語とは

無生物主語を使いこなせるようになるために必要なのが、「主語」の理解です。

【主語とは】
文の成分の一。文において、述語の示す動作・作用・属性などの主体を表す部分

出典:デジタル大辞泉(小学館)

つまり、

  • 動作主・行為主
  • 何かに作用するもの/影響を与えるもの
  • 何かの感情・状態を変えるもの
  • 何かに何かを起こさせるもの

こういうのは全部主語になり得るということです。

生き物じゃない「主語」の方が多そうですよね。

この主語の概念さえ理解できれば、難しいことはないはずです。あとは慣れです。どんどん文章を作っていきましょう。

無生物主語のイメージ

動作や作用の主体の部分主語にすればよいのですから、述語(結果・出来事・事象・現象・成果物・理解・感情など)が受ける矢印の始点(起点)にあるものが「主語」になる、というイメージです。

主語(作用を与える方)と述語(作用を受ける方)のイメージ

「作用主(主語)」⇒「結果」の構図ができたら、あとはその作用主と結果を結びつけるための動詞を探すだけです。

慣れないうちは辞書で色々探してみましょう。他動詞は思いの外たくさんあります。

ピタッとハマる他動詞が見つかることも多いですし、「take、make、give などの汎用性の高い動詞+名詞」の組み合わせで大抵のことが表現できるはずです。

あとは、実際に例文をみてイメージを深めていきましょう。

例文を見ながら「主語⇒述語」の構図のイメージを深めよう

ここからは、ゆるく分類しながら例文を示していきます。ただ、このグループ分けには何の意味もありません。

上で確認したように、何かの動作主だったり、何かに影響(作用)していたりしたら、それは主語たり得るんです。

「こういうパターン(動詞)の時に無生物主語が使える!」とかいうものではなく、主語になれるものが主語になるだけです。

パターン(動詞)を覚えるのではなく、上の図の矢印の始点のイメージを持つことを大事にしてください。

そうすれば、無限に作文できるようになりますよ

何かの感情・状態を変えさせるもの

何かを見たり聞いたりして、感情が動かされたとき。

感情が動いたということは、その「作用主(原因)」があるはずですね

ということは、その「感情を動かした張本人」を主語にして文章を作ることができるということです。

「作用主(原因)⇒ 生じた感情」の構図をイメージしてみてください

ニュース⇒嬉しくなった
This news made me happy!
(このニュースを見て嬉しくなった)

嫌な噂⇒怖くなった
The rumor frightened me.
(その噂を聞いて怖くなった)

音楽⇒リラックスする
His music relaxes me.
(彼の音楽を聴くと寛げる)

宿題⇒気分が下がる
Homework makes me sick.
(宿題って気分悪くなる)

例文にもある通り、感情動詞は基本的に他動詞です(自動詞の意味があるものもあります)。

  • ~をビックリさせる
  • ~をワクワクさせる
  • ~をガッカリさせる

感情の受け手を主語にするには受動態を使わなくてはいけませんが、その「感情を引き起こした物事」を主語にすれば、能動態でスッキリ書けます。

下記では感情動詞をたくさん紹介していますが、どれも他動詞なので無生物主語を主語にすることでダイレクトにスパッと表現することができますよ。

行為のきっかけ・原動力

何かがきっかけで行動を起こしたとき。何かが原動力となって何かが起こったとき。

「行動した人」や「起きた事象」を主語にすることももちろん可能ですが、その行動・事象を「引き起こした張本人」を主語にすることもできますよね。

講義⇒理解した
His lecture gave me an insight into this problem.
(彼の講義を聞いたらこの問題の本質がわかった)

アドバイス⇒勉強する
Her advice led me to study finance.
(彼女のアドバイスがきっかけで、金融を学ぶようになったんだ)

花⇒思い出す
This flower reminds me of my childhood.
(この花を見ると子供の頃を思い出す)

情報源

「何かを見て知った」「何かを読んで分かった」など、知識・情報を得たとき。

そういった知識・情報を「提供しているソース」始点と考えると、これも主語になります。

矢印をイメージしてみてくださいね

メール⇒情報
His email said he might not attend.
(メールには、出席しないかもって書いてあった)

記事⇒情報
This article says good sleep is essential for health.
(この記事によれば、いい睡眠は健康に不可欠です)

グラフ⇒情報
The graph shows the increase in our sales.
(我々の売り上げが上がったことをグラフが示している)

研究⇒知見
Our research revealed that this drug is safe for children.

(私たちの研究によって、この薬は子供たちにも安全だということがわかった)

結果⇒知見
The results highlight the importance of regular exercise.
(この結果から、定期的な運動が重要であることが浮き彫りになった)

本⇒知識
This book teaches basic English grammar.
(この本は、英語の文法の基礎を教えてくれる)

原因・理由・手段

何かが起こるとき、もちろん自然発生的に何の理由もなく生じることもありますが、何か「原因」や「理由」があって起こっているときって多いですよね。

それを引き起こした「原因」「理由」は、その結果生じる事象に向かって伸びる矢印の始点になります。つまり、「主語」になれます。

台風⇒倒壊
A typhoon destroyed this building.
(台風でこのビルは倒壊してしまった)

タバコ⇒害
Smoking can harm your health.
(喫煙は健康を害する)

雪⇒渋滞
The snow caused a traffic jam.
(雪で渋滞になった)

大雨⇒電車の遅延
The heavy rain delayed my train.
(大雨のせいで電車が遅れた)

台風⇒ステイホーム
A typhoon forced us to stay home all day.
(台風のせいで、一日中家にいないといけなかった)

長年の修行⇒プロ
Ten years’ training made him a professional.
(10年修行して、彼はプロになった)

成功⇒昇進
His success in this product resulted in a promotion.
(この製品で成功したことで、昇進したんだよ)

新製品⇒儲け
This new product brought us a fortune.
(この新製品のお陰で一財産築けた)

怠惰⇒彼女の発狂
My laziness drove her crazy.
(私の怠惰のせいで、彼女が狂った)

コロナ⇒留学ダメ
The Covid-19 situation prevented her from studying abroad.
(コロナのせいで、彼女は留学できなくなった)

薬⇒命が助かった
This medicine saved my mother’s life.
(この薬で母の命は助かった)

「~すると○○できる」のような文脈では、『~する』という手段の部分「その後の行為・結果を導く源」と言えますので、同じように主語になり得ます。

これを始点に、述語に向かって矢印が伸びているイメージができるでしょうか?

この道⇒駅に行ける
This road will lead you to the station.
(この道を行けば駅に着く)

車で5分⇒最寄り駅
A five-minute drive takes you to the nearest station.
(最寄り駅まで車で5分でいける)

ウォーキング⇒健康維持
A 30-minute walk a day will help maintain your health.
(一日30分歩くことは健康維持に役立つ)

公式⇒解が得られる
This formula solves the problem.
(その問題はこの公式で解ける)

何かに作用するもの・影響を及ぼすもの・動作主

「主語」の定義そのままです。これまで紹介したものの中にも、ここに入れてもいいものがたくさんあります。

ここまで見てきたものと同様、述語に対する矢印の始点になっているイメージを確認してください。

パソコン⇒オンライン授業ができる
A computer enables us to take classes from home.
(パソコンがあれば、家から授業が受けられる)

英語⇒コミュニケーションがとれる
English skills allow us to communicate with foreigners.
(英語のスキルがあると、外国人とコミュニケーションがとれる)

プログラミングスキル⇒採用の可能性が上がる
Programming skills will increase the chance to work at A company.
(プログラミングスキルがあると、A社で働ける可能性が高くなる)

健康的な食事⇒減量
A healthy diet contributes to losing weight.
(健康的な食生活は体重減少に繋がる)

昼寝⇒リフレッシュ
A fifteen-minute nap will refresh you.
(15分昼寝するとリフレッシュできる)

キャッシュレス決済⇒支払い簡素化
Cashless payment simplifies the payment process.
(キャッシュレス決済により、決済処理が簡単になる)

ハイテク家電⇒家事負担軽減
High-tech household appliances reduce the burden of daily chores.
(ハイテク家電は日々の家事の負担を軽減する)

京都⇒人々を魅了
Kyoto attracts people around the world.
(京都は世界中の人々を魅了する)

パソコン⇒問題解決
A computer can solve the problem.
(パソコンがあればその問題は解決する)

主語を変える = 和文の言い換え

人に限らずモノや出来事が主語になることに違和感が無くなると、英作はぐっと楽になります。

言いたいコトが表現し辛い時はその事象を別の視点から捉えてみると書き易くなりますが、「主語を変える」ことは視点を変える最も単純な方法です。

「書きにくいな」と思った時は、ぜひ他のものを主語にして書けないか考えてみてください。

おわりに

「原因⇒結果」「きっかけ⇒事象」「出来事⇒感情」のような矢印の構図をイメージすると、主語にすべき作用主が見えてきます。

今まで「結果」や「感情の受け手」を主語にして書いていた内容でも、そのきっかけとなる矢印の始点を主語にすれば、受動態を使わずに能動態で表現することができるはずです。

無生物主語を使った作文に慣れると英作文はすごく楽になりますし、何より楽しくなります。

ぜひ、気負わずどんどん無生物主語を使ってみてくださいね。^^

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