ライティング力を上げるための「音読」の方法|おすすめ英語学習法

英語の勉強には「音読」がいいよ!

とはよく聞くものの、「ちょっとやってみたけど全然効果がわからないんだけど」という方も多いのではないでしょうか?

実際、音読は英語力全般に有効ですし、ライティング力の向上にもとても役立つおすすめの勉強法です。

でも、音読というのはただ声に出せばいいというものではありません。音読の効果が信じられない人は、恐らくやり方が良くなくて効果が得られていないのだと思います。

そこで今回は、書く力を上げたい人向けに、音読のメリットと方法をお伝えします

「音読ってホントに意味あるの?」と思っている方の参考になれば嬉しいです。

  • リスニングやスピーキングに対する効果には言及しません
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音読のメリットと目的

本を読んでいる人の手元

音読の最大のメリットは、英語の文章の「作り」を体で理解できるようになることです。

脳を使いながら音読することで、以下の感覚が身に付きます。

  • 文の構造
  • コロケーション
  • フレーズ

こう言うと、使えそうな文やフレーズを「覚える」のかと思われそうですが、そうではありません。

音読に暗記は必要ありません。

大事なのは、自然な流れ(語と語、文と文の配置など)の感覚に「慣れる」ということ。

実際に口に出して耳で聞くことで、このリズムを身に付けるのです。この訓練によって 「文章の『作り』の感覚を身に付けること」が、私のすすめる音読の目的です。

暗記は脳みその使用を妨げるだけです。
英語に「例文暗記」は不要ですよ。

文の構造とは

英語の文構造とは、要するに S(主語)V(動詞)です。

あとの要素は言ってしまえば修飾や補足で、外したり移動したりすることも可能です。

一方、SとVは文構造に必須の要素です。

文章を作るときは、何をSにして、何をVにするかから考えます。

添削をしていると主語抜けや動詞抜けの文をよく見ますが、ミスの種類としては重大です。文は必ず、SとVから作りましょう。

文の構造の絶対的ポイント

何がSで、何がVで、その配置はどうなっているか

音読では、各文でこれを意識することで英語の文構造を体に浸透させます。

英語ではSとⅤの位置はほぼ決まっていますが、少し複雑な文章になってもこの構造がクッキリ見えるようになることが目標です。

これを鍛えれば作文中に要素の配置に迷うことは無くなりますし、間違った配置をしたときに「違和感」が感じられるようになります。

コロケーションとは

コロケーションとは「よく一緒に使われる語の組み合わせ」のことです。

「しっくりくる語の組み合わせ」っていうイメージかな

例えば「バイオリン」と来たら、「弾く」「聴く」などが連想されますよね?

一方で、「バイオリン」を「煮る」とか「破る」とかは無さそうですよね?

このように「その語とよく使う語の組み合わせ」「繋がりが強い語の組み合わせ」のことをコロケーションといいます。

上の例は名詞と動詞の組み合わせですが、形容詞と名詞、動詞と副詞など、品詞は関係なく色んなコロケーションがあります。

繰り返しますが、音読する中でコロケーションを覚えていきたい訳ではありません。

よく使われる表現は絶対に繰り返し出てきます。音読でこうした「自然な語の組み合わせ」に触れておくことが大事なのです。

そうすると、作文するときにも「この組み合わせは変だな?」とか「この語と使うんだったらこっちだよな?」というような感覚が出来てくるようになります。

この「違和感」を感じられるようになることが大事です。

違和感さえ感じられたら、自分で調べてすぐ直せますからね。

しっかり頭を使って音読することを続けていれば、この感覚は絶対に付いてくるので安心してください。

フレーズとは

フレーズとは、簡単にいうと「複数語から成る表現」です。

これも決して音読中に覚えることを意図している訳ではありません。

コロケーションと同様、よく使う表現には繰り返し出会います。音読の過程で視覚・聴覚で馴染んでおくだけで、後々覚えようと思ったときに楽なはずです。

既に知っているフレーズについては実際の用法を見ることで定着率が上がりますし、作文するときにアウトプットしやすくもなります。

自分で使う前に、目と耳で慣れ親しんでおくというイメージです。

ライティング力を上げたい人がすべき音読の仕方

分厚い本を重ねて持ち上げている人

文の構造を理解しながら読むこと

この音読学習のポイントは「文の構造を理解しながら読むこと」にあります。

決して、ただ声に出せばいいという訳ではありません。脳みそを使いながら読みましょう。

つまらない本を読んでいるとき、字は追っているけど何にも頭に入ってこないときってありませんか?
ただ声に出すだけではこれと同じ状態で全く学習にならないため要注意です。

文の構造は上で説明した通り、S+Vです。

何がSで何がV、何が目的語なのか、、、など、文の要素を理解しながら読みます。 

文の意味を理解しながら読むこと

文の構造は理解できても、意味が分からないとその文を理解したことになりません。

分からない単語・表現は調べて、文の意味も理解します。

音読するスピードで文の意味も理解しながら読んでいけるようにしましょう。

初見で文の構造・意味の理解が難しいテキストの場合は、まずは文構造の理解、単語の意味調べから始めましょう。音読はそれが終わってからスタートです。

文は前から読むこと

意味を理解しながら音読するということは、「書いてある順に、前から読みつつ、意味も理解していく」ということです。

意味を理解するというと英文和訳をしたくなるかもしれませんが、それは不要です。

むしろ音読しながらそれが出来たら逆に頭の中すごいですけどね。しなくていいです。

例えば次の文章を読むとき。英文和訳をするときは、in response to 以下から訳す人もいますよね?

Japan has banned new entries by foreign nationals worldwide since Nov. 30 in response to confirmed cases of the highly contagious variant in the country.

Kyodo News+

でも、音読は文字通り前から読むので、素直に前から把握していきます。

Japan(主語)は ⇒ banしている(動詞)⇒ new entriesを(banの目的語)⇒ foreign nationals による(new entriesの主体)⇒ Nov. 30から(時期)⇒ in response to(次のことに対応して) ⇒ confirmed cases があった ⇒ the highly contagious variant(casesの説明)⇒ the countyで(場所)

何度も音読すること

同じテキストで何度も音読して初めて効果が得られます。一度読むだけでは意味がありません。

理解しながら読むということは、その文が理解できないうちは次の文に進めないということです。

一文ごとにブツブツ止まっているうちは音読が全然捗りませんね。というか、そんなブツブツだと「音読」とは言い難いですよね。

だから、スムーズに行くまで繰り返しましょう。

スピードを緩めなくても構造と意味のどちらも理解しながら読めるようになるまでは、最低限繰り返しが必要です。

一度に読む量は適度に

テキスト全体の長さにもよりますが、一度読んで疲れてしまうような長文は音読には不適です。

長文を題材にするときは、一度に音読する量は調節しましょう。

発音は正しく

カタカナ読みではなく、正しい発音を心がけましょう。

リズムや感覚を身に付けるために行うため、本来のリズムと違うカタカナ読みをしていても効果は薄いです。

もちろん完璧じゃなくても大丈夫です。発音が分からないものは調べ、正しい発音で読む意識が大事です。

発音の重要性や参考書籍は下記でお話しています。

音読におすすめのテキスト

海辺でペーパーバックを広げている様子

音読のテキストの選び方のポイント

音読のテキストを選ぶ際に注意したいポイントは下記です。

  1. 書き言葉であること(話し言葉のスクリプトではない)
  2. 論説文・ノンフィクションであること
  3. 信頼性があるものであること(校正・校閲済み)
  4. 自分の書きたい分野のテキストであること

書き言葉であること

ライティングの勉強のために行うなら、良質な「書き言葉」であることが必須条件です。

ドラマや映画のスクリプトやインタビュー記事などは、会話文です。書き言葉と話し言葉は違います。

英会話のためであればもちろんこういうのを題材にするのも良いですが、ライティング目的なら止めましょう。

論説文・ノンフィクションであること

音読というと短い物語や小説をすすめる人がいますが、小説(物語)を書くのが目的な人以外は止めましょう。小説調の文章、レトリックに富んだ文章を書きたい訳ではないからです。

自分が「書く」文体で学んだ方が、絶対に効率がいいです。

大抵の人は、レポートやビジネス使用が目的だと思います。論説文やニュース、ノンフィクションなど、「物語ではない文章」を選びましょう。

ライティング力アップが目的ではない方、Reading の一環として音読したい方は、もちろんフィクションでもいいと思います。フィクションで音読したい方は、Graded Readers など、語彙を制限した短めのテキストがおすすめですよ。Readers については下記で紹介しています。

信頼性があるものであること

世界中の人が英語を使用していますから、インターネット上には英語のテキストがあふれています。

しかし、母国語が英語の人の文章であっても正しいとは限りません。

変な癖や間違いを身に付けてしまうのはリスクなので、個人のブログやウェブサイトは避けましょう。

最低限校正・校閲済みと思われる、出版物や出版系のメディアのテキストがおすすめです。

自分の書きたい分野のテキストであること

興味が無くても勉強したい分野であればいいですが、基本は自分が書く文章と同じ分野のテキストから学ぶのが効率的です。

興味もなく、特に勉強する必要もない分野のテキストを選んでしまうと苦痛なだけです。

ただ、自分が好きな分野でも、その分野についてライティングする予定が無いのであれば効率は良くないかもしれません。

とはいえ、続かないと意味がありません。
効率と楽しみとを天秤にかけ、自分にとってベストな選択してください。

音読の教材例

教科書

学生の方であれば教科書が一番お手軽かつ確実です。

会話文いっぱいのものではなく、説明文・論説文的なテキストがありますよね?それにしましょう。

長過ぎる場合は途中で切ればいいだけなので、全体の長さは気にしなくて大丈夫です。

ニュース

ネットで探したい方にはニュース記事がおすすめです。校正・校閲が入っていますし、端的な文章ですから。トピックも色々選べますしね。

無料でも結構読めますし、ひとつのテキストを繰り返し使うと考えるとそれで十分足ると思います。

数を読むよりも、一つの題材を丁寧に使った方が身になりますよ。

英語学習者用の英字新聞「The Japan Times Alpha」のオンライン版で読める記事は、長過ぎず、和訳も付いていたりして親切設計です(トップニュースは過去記事も含め誰でも読めます)。

上級者の方であれば、「The Japan Times」の方が選択肢が広がるので楽しいと思います。

おわりに

英語学習法として万能な音読は、ライティングにも絶大な効果があります。

ただし、正しい方法で、適切な教材を使ってやらないとその効果は下がってしまいます。

せっかくやるんだったら効率的に最大限の効果を得たいですよね。

今回ご紹介した方法も是非参考にしていただければと思います。

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