アルクの『究極の英単語』は単語帳の中でも定番ですね。私も Vol. 3 を使いました。
勉強法や教材は人によって重視するところが違うため、様々な意見があって当然です。
私は別にこの単語帳を特別推したい訳ではありませんが、フツーに使える良書でした。
この記事では、そんな個人的な感想と、この単語帳を選ぶ上での注意点をお伝えします。
単語帳選びに役立つ情報が少しでもあれば嬉しいです。
究極の英単語シリーズ
アルクが出版している単語帳シリーズで、 Vol. 1 (初級)~ Vol. 4(超上級)まであります。
特徴は収録語の選定基準で、SVL12000 という独自基準です(笑)。
アルクが長年蓄積してきた膨大な英文データから「日本人英語学習者にとっての有用性」「ネイティブスピーカーの使用頻度」を基準に選び出した、12000語の重要英単語リスト、標準語彙水準12000(Standard Vocabulary List [略称SVL12000])。
究極の英単語|ALC PRESS INC.
- 一冊ではなくシリーズ全体で12000語という意味なので、一冊当たり3000語です。
この選定基準がこの単語帳シリーズの特徴なので、この利点と限界をよく考えましょう。
英語学習者といっても学習目的は様々です。必要な単語層は人により全然違います。
多種多様な要望がある中で「標準」をザクっと切り取っているのですから、広く浅くカバーすることになるはずです。そのため、当然単語に当たり外れはあります。
でも、私は「日本人英語学習者にとっての有用性」が基準になっている点を信じて買ったので後悔はしていません。
誰か個人のバイアスが入りまくったチョイスより、長年英語教材を専門としてきた会社のノウハウの方が私は信用できます。
お気に入りのポイント
デザイン
単語帳は1冊やりきろうと思うと長い付き合いになります。
少しでも気に入らないものは途中でやらなくなるリスクが高いため、学習教材といえども私はデザインを重視しています。
表紙はもちろん、中身のレイアウトやフォント、色など、自分的に「気になる」ところがないものを選ぶのは大事だと思いますよ。
シンプル
本単語帳は、余計なものが無くてシンプルです。
私が単語帳に求める ①見出し語、②発音記号、③品詞、④意味 が全て入っていて、逆に不要なものが入っていません。
私は単語帳に音源は求めないので、音声データは無くても気になりません。
発音は発音記号を見れば分かりますし、リスニングの勉強は別の教材でやりますしね。

シリーズ
シリーズになっているため、
- 自分の目的に近いレベルのものを選択できる
- ステップアップ用の選択肢がある
というのも究極の英単語シリーズのメリットだと思います。
よくある批判について思うこと

例文ってそんなに必要?
この単語帳は「Power Sentence」と「Word List」で構成されています。
「Power Sentence」は主要な動詞を含む例文で、動詞以外の単語も含め複数の単語が学べるようになっています。
動詞以外の品詞の単語については「Power Sentence」に入りきらなかったものが、「Word List」で羅列されています。
この「Word List」には例文がなく、これを批判している人もいらっしゃいますが、正直全く不都合はありません。
名詞や副詞に例文なんて必要ないからです。
使い方を例文で確認したい単語なんて、動詞くらいではないでしょうか?
「久々に草餅を食べたら和菓子にはまってしまった」みたいな例文が無いと「草餅」の使い方なんて分からないし「草餅」なんて単語覚えられないっ!><・・・なんて人いないですよね。
例文があるとイメージしやすいというメリットは分かりますが、連想するだけなら脳内でイメージするだけでも十分です。
今後の人生で使わないであろう特殊な例文で覚えるより、自分にとって身近な話題や連想しやすい文脈でイメージした方が思い出しやすくなると思いますし、わざわざ文章全体を用意しなくても2~3語のフレーズがあれば十分です。
例文で学んだ方が学習効率がいい人たちを否定するつもりはありません。
ただ、一使用者としては、「Word List」に例文が無いことは全くデメリットではないと感じました。

買う前に注意すべきこと
買ってから後悔しないためには下記2点の理解が大事です。
- 掲載語の選定が自分の用途・目的に合っているかどうかの確認は必須
- 英語の使用目的が明確な場合は、単語帳を使うよりもその素材自体で学ぶ方が効率がいい
見出し語の確認
実物を見ずにオンラインで購入する場合も多いかもしれませんが、Amazon などでは中身のチェックもできます。
表紙に書かれている「○○レベル」や「○○向け」という宣伝文句は当てにならないため、見出し語を自分の目で見て確認することを強くおすすめします。
自分のレベルや用途・目的とかけ離れているかどうかは、見出し語を見れば分かります。
また、レベル感としてはある程度は知っている単語があるものを選択するのがおすすめです。
知らないものばかりのものを選んでしまうと、知識から抜けてしまうゾーン(その単語帳のちょっと下のレベル)が出来てしまう可能性が高いからです。
目的が明確な場合はそもそも単語帳は効率的ではない
絵本を読みたい、ミステリー小説が読みたい、英字新聞が読みたい、医学論文が読みたい、TOEIC のスコアを上げたいなど、目的が明確な場合は『究極の英単語』シリーズでの学習は効率的ではありません。
このシリーズは特定の対象を意図して設計されたものではないからです。
児童書が読みたいなら児童書を、科学論文が読みたいなら科学論文を読んでその中で単語を覚えていく方が遥かに効率的です。
TOEIC などの特定の試験対策が目的なら、その専門教材を選びましょう。
気に入りそうな人・役立ちそうな人
比較検討したことがないため、この単語帳が他と比べて優れているかどうかは分かりませんが、実際に使った身として私自身は気に入っています。
その超個人的な視点から考えると、以下のような方には合うと思います。
究極の英単語シリーズが気に入りそうな人
- 単語帳の例文は重視しない人(見出し語メインで単語を覚えていきたい人)
- シンプルなデザインが好きな人
当時の私の目的は TOEFL の問題も含め「アカデミックな文章をもっと読めるようになること」で、Vol. 3 は内容的には合っていました。
同じような目的の方には役に立つのではないかなと思います。
究極の英単語 Vol. 3 が役に立ちそうな人
- 受験英語に必要な単語はまあまあしっかり覚えた人
- 受験英語以上のアカデミックな語彙力を付けたい人(例:留学予定の方、大学生)
- ゆくゆくは英字新聞も読んでみたいと思っている人
- TOEIC などの試験目的ではなく、全般的な語彙力を上げたい社会人英語学習者
もちろん、Vol. 1, 2 からスタートした方が楽しめる方もいると思います。ただ、受験英語のレベルと被る部分もあるため、既に他の単語帳をお持ちの方は内容被りの問題があるかもしれません。
また、英字新聞などを既に読んでいて Vol. 3 では物足りない方には超上級の Vol. 4 もあります。
とはいえ、上でも述べた通りこのシリーズは特に「大学受験」や「TOEIC」などを意図して設計されている訳ではありません。
レベル分けもよく分かりませんので(笑)、ご自身の目で「見出し語」一覧をざっと眺めてみた上で判断してくださいね。

おわりに
『究極の英単語』シリーズは単語帳の中でも定番のシリーズです。
私自身は気に入っていましたが、学習目的やレベル、学習スタイルは人それぞれですので、みなさんに合うかどうかは正直わかりません。
自分の英語の用途を明確にし、見出し語を確認することで単語帳選びの失敗は防げます。
このシリーズが気になった方は、是非ご自身の目で見出し語をチェックしてみてください。
