英作できるようになりたいなら例文暗記はおすすめしない

  • この例文を覚えたら、あとは○○を入れ替えるだけ!
  • 絶対使える英語例文100!

こういうのよく聞きますよね。

使えそうな例文を覚えて、必要に応じて要素を入れ替える・・・という手法が有用なのは、最低限の英会話ができればいい人だけだと思います。

個人的には、自分で文章を作りたい人には例文暗記をベースとした英語学習はおすすめしません。

理由は、例文暗記ってめちゃくちゃハードなくせに、応用がめちゃくちゃ難しいからです。

例文暗記に頼らない作文を早いうちから覚えた方が、圧倒的に楽だし応用が利きます。

今回は、例文暗記をおすすめできない理由と、暗記に頼らないオーソドックスな作文手順をお伝えします。

  • 例文は結構覚えたのに、一向に自分で文章が作れるようにならない
  • 基本の例文は押さえてあるけど、応用力に自信が無い

こんな方の学習のヒントになれば嬉しいです。

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例文暗記は得策ではないと思う人

英語学習の目的は人それぞれで、それに貴賤はありません。ただ、その目的により最適な学習法は異なります。

私は、いわゆる応用力が必要な人には例文暗記はおすすめしません。

例文暗記がおすすめできない人
  • 英語を自在に使えるようになりたい人
  • 自分で文章を作れるようになりたい人
  • 英語で会話が出来るようになりたい人

一方で、応用は必要ない人にとっては例文暗記は有効だと思います。

例えば以下のような用途の方には、むしろ例文暗記はおすすめですよ。

例文暗記がおすすめな人
  • 日本人の連れと海外旅行に行くため、現地で必要な会話のみ覚えたい人
  • 定型のビジネスメールが書ければ十分な人

以下では、応用力が必要な方向けに、例文暗記のデメリットと暗記に頼らない作文の手順をお話していきます。

例文暗記が合っている人は、ここでサヨナラです。

例文暗記を止めた方がいい理由

例文暗記をおすすめしない理由は、端的に言うと学習効率が悪いからです。

例文暗記を止めた方がいい理由
  • 例文中の要素を適切に入れ替えることが出来ず、結局「使える文章」が自分で作れないから
  • 例文ベースの作文は無駄に労力が必要だから

要素の入れ替えが適切にできず、結局使える文章が作れない

暗記依存の弊害は、文法の理解をおろそかにしがちなことです。

  • 何故その時制を取るのか
  • 何故その前置詞がそこに要るのか

などの細かいところは気にせず、完成形の形と意味だけ覚えようとするからです。

例文の要素を入れ替えて使うには文法知識が必須

問題は、文法が曖昧な人が例文を暗記しても、ミスなく使うのが難しいということです。

なぜなら、例文の主語や動詞を変えた時に、適切な変形や単語の選択が出来ないからです。

主語を変えたら動詞の形が変わるかもしれませんし、動詞を変えたら目的語や前置詞が変わるかもしれません。名詞ひとつ変えただけでも冠詞が変わるかもしれません。

要素の入れ替えは大変なことなんです。

せっかく例文を覚えても、適切な調整が出来ないのであれば結局使えないということです。

例文ベースの作文は無駄に労力が必要

例文暗記をベースとする作文では、まずは例文をセットし、そこから主語なり動詞なりを「変えたい単語」に入れ替えていきます。

例えば「15分昼寝したらリフレッシュできるよ」という文を作りたいとき。

STEP
土台となる例文をセットする

まずはベースとなる例文を頭の中から引っ張り出してきます。

A five-minute drive takes you to the stations.

ストップ!

今これサラッとやってしまいましたが、皆さんの頭の中ってこんなデータベースみたいになっていますか?

作りたいであろう文章にめちゃくちゃ近い適切な例文が、パッと出てきますか?

この「適切な例文を引っ張り出す」というステップが、多くの人にとってはハードル高すぎだと思います。

このために膨大な例文をストックしなければならないというのは過酷ですし、私は絶対やりたくありません。

STEP
要素を適当なものに入れ替える

土台がセット出来たら、主語と動詞を適当なものに変換して不要なものを削除します。

例文暗記の作文ステップ

例はシンプルなものにしたので時制の調整くらいしか必要ありませんでしたが、上述した通り、通常はこの工程で様々な文法的調整が必要になります。

土台の例文の要素はほとんど残っていない

もちろんこれでも作文できると思います。ただ、入れ替えた結果、結局残った要素は「you」だけでした。

文の骨組み

まさに「劇的ビフォーアフター」ですね(←古くてみなさんご存じないかも)。結局総入れ替えするなら、わざわざこの土台を設置する必要なんてあったでしょうか?

労力の面から考えても、後述するようにオーソドックスに前から構築していく作文の方が圧倒的に経済的だと思います。

オーソドックスに前から組み立てる

同じ文章を、オーソドックスに前から作文してみましょう。

「15分昼寝したらリフレッシュできるよ」

「15分昼寝」 ⇒ 「(あなたが)リフレッシュできる」

  • 作用主は「15分の昼寝」(つまりこれが主語)
    • a 15-minute nap でも fifteen minutes’ nap でも taking a 15-minute nap でも何でもいい
  • 動詞は「リフレッシュさせる」だから refresh
  • refresh の目的語は you

あとは並べるだけ。

“A 15-minute nap will refresh you.”

必要な材料を必要なだけ揃える方が、絶対に労力は少なくて済みます。

ここでは主語動詞しか考えていません。難しい構文も使っていません。ただの SVO です。

似ている構造の例文を上手く引き出す方が遥かに難しいと思います。

もちろん、You を主語にして作ったって構いません。語彙指定の英作文でない限り、伝われば正解です。

例文暗記が要らない英語学習の考え方

例文暗記は大変なのに、実用性が乏しいです。正直全然おすすめできません。

という訳で、例文暗記に頼らない文章の作り方と英語学習の考え方をお伝えして終わりにしたいと思います。

文章の作り方

上で見た通り、オーソドックスに前から順に要素を足していく作り方が結局一番楽だと思います。

前から文を組み立てるイメージ

まず「主語」は何か、次に「動詞」は何か。

英語の文章の根幹は S + V なので、いつもこれから考えます。あとは必要な要素があれば後ろに足していくだけです。

ただの考え方です。すぐに慣れますよ。

例文ベースの作文では、初めに皿全体を用意し、使えないところだけ交換したり捨てたりして完成形に近づけていきます。

例文の要素を入れ替えるイメージ

初めから要素の置き場があるため一見安心感がありますが、英語の文の基本は S + V で決まっています。

結局最初に置く要素は「主語」だし、次は「動詞」なんです。皿なんて無くても不便ではありません。

単語・フレーズの覚え方

上の文の作り方から考えても分かるように、単語を覚えるときは品詞と使い方(後ろに取る要素)を覚えれば使えます。

例文ごと覚える必要などありません。

例えば「enable」という動詞は、「enable A to do」=「Aが~することを可能にする」と単語帳に載っていますよね?

素直にこの構造を理解しましょう。どうせ入れ替える単語のために例文全体を覚えるより、4語覚えるだけの方が楽ですよ。

例文の使い方

例文を暗記する必要はありませんが、例文は英語学習には必要です。

例文の用途は、「文法表現や単語・フレーズの使い方の確認」です。その構文・単語・フレーズが実際にどう使われているかを見て、理解するために使います。

そのため、例文はたくさん見た方がいいです。

一つの例文を完ぺきに覚えるより、10個例文を眺める方が遥かに有用です。10個眺めれば、その単語がどういう文脈で使われるものなのか、その単語の「コアの意味」が掴めると思います。

単語の概念や構文を理解するには例文をたくさん見るのが有効です。

アルクの『英辞郎 on the WEB Pro Lite』は例文がたくさん見られるのでおすすめです。

もし英語だけでイメージが掴める人はコーパスを使うのもいいと思いますよ。

おわりに

自分で文を作れるようになりたいという方には、例文暗記はおすすめできません。学習効率が悪いし、単純にハードだからです。

ただ、冒頭でも述べた通り英語の使用・学習目的によっては例文暗記が有効な人もいると思います。

是非、ご自身の目的(目標)を踏まえ、例文暗記すべきか否か考えてみてください。

例文暗記を止めようと思った方は、ぜひ上で紹介したオーソドックスな文作りを習慣にしていきましょう。

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