論理・根拠|自由英作文での減点を減らすために知っておくべきポイントと対策

  • 文法や語彙のミスは少ないのに点数が低い
  • 自分ではよく書けたと思ったのに点数はいまいち

こんな悩みがある方は多いですよね。

自由英作文(エッセイ)の採点基準には「①内容・論理構成」と「②文法・語彙」の二つの柱があります。

採点では、①の基礎点から②のミスを減点するのが基本です

ミスが少なく正確な英文が書けていても、①の基礎点が低ければ高得点は得られません。また、文法が苦手な場合はどうしても減点が多くなるため、基礎点を高くしておかないと点数が残りません。

英文エッセイで高得点を得るには、高い内容点を確保するのがとても大事なのです。

そこで今回は、自由英作文の基礎点を上げるために大事なポイントを整理します。

文法ほど意識されない点ですが、こちらの方が重要です。是非このポイントを押さえて自分の英作文をチェックしてみましょう。

  • 採点基準は試験により異なります。この方式ではない場合もあります。
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英文エッセイ・自由英作文の採点基準

自由英作文の採点基準には二つの柱があります。

自由英作文の採点基準
  1. 内容・論理構成
  2. 文法・語彙

みんなが気にするのは②の文法・語彙ですよね。

でも、文法や語彙は読解や和訳など他の問題でいくらでも評価できます。わざわざ自由英作文で試す必要はありません。

当然課題のレベルにもよりますが、多くの自由英作文では①の内容、つまり思考力・文章構成力の評価がメインです。

自由英作文で見られているポイント
  • 「問い」に答えられているか(コミュニケーション力)
  • 根拠に基づいて主張できているか
  • 論理に飛躍はなく一貫しているか(論理、思考力)

文法が完ぺきで難易度の高い単語を使っていても、内容がズレていたらアウトです。採点は基本的に減点方式で、加点方式ではないからです。

添削しているとこういうケースにもよく遭遇します。
英語力と思考力は関係ありません。

さて、内容の重要性については理解いただけたと思います。ここからは、実際に添削者が見ているポイントを具体的に見ていきましょう。

「内容・論理構成」で見られているポイント

先ほど紹介したポイントに沿って、具体的に見ていきますね。

自由英作文で見られているポイント
  • 「問い」に答えられているか(コミュニケーション力)
  • 根拠に基づいて主張できているか
  • 論理に飛躍はなく一貫しているか(論理、思考力)

「問い」に答えられているか

問われていることに的確に答えられているか、これが一番重要です。

自由英作文のトピックは、あなた自身の意見・考えを問うものがほとんどです。二択の質問であれ Open Question であれ、自分の意見をはっきりと主張することが求められています。

二択の問い

「賛成か反対か」「 Yes か No か」「AかBか」などの二択の問いに対しては、一文目で明確に自分の回答を述べましょう。

Q:オンライン授業の導入に賛成か反対か、理由と共にあなたの意見を述べてください。

A:私はオンライン授業の導入に賛成です。なぜなら・・・

二択で問われているのに、それに回答しない以下のような書き出しはいけません。

  • オンライン授業にはメリットもデメリットもあります。メリットとしては・・・

メリットもデメリットもあることなんてみんな知っています。
出題者が欲しいのは解説ではなく、あなたがその状況で「どのように考えるか」です。あなたの意見が聞きたいんです。

自由英作文のトピックは賛否両論あるもの、どちらにも一長一短あるものです。どちらを支持するか迷う気持ちは分かりますが、本音を述べないといけない訳ではありません。

どちらを選んだとしても、明確な根拠がありさえすれば評価には関係しません。二択のうちどちらかを選択して明言してください。

また、選択肢に無い第三の選択肢を勝手に作るのもやめましょう。

折衷案や独自に考えたアイデアを提案してくれる人がたまにいます。それ自体は素晴らしいことですが、二択の問題が求めていることとは違います。素直に「与えられた選択肢の中から」選択しましょう。

本論の中でメリットとデメリット両方述べること自体はもちろんOKですが、意見がブレていると採点者に思われないよう構成には注意が必要です。

「利点・欠点の両面に言及しながら自分の主張を展開する」というのはなかなか難易度が高く、上手にできている生徒さんは少ないのが現状です。

よくある失敗パターンと解決策については「英作文でメリットとデメリットを論じるときの注意点と反論パターン」で解説していますので、不安な方は一度確認してみてください。

Open Question

Open Question の場合は選択肢がありませんが、やはり聞かれているのはあなた自身の意見や考えです。まずはその結論を冒頭で述べてください。

Q:高齢化による医療費の増大が深刻です。この問題に対して日本はどんな取り組みをすべきだと思いますか?

A:生活習慣病等の非感染症の発症を減らすため、予防医療を推進することが急務だと思います。なぜなら・・・

また、「利点と欠点を踏まえて」「理由を2つ以上」など、問題文に条件が入っている場合も多いです。

問題文をよく読み、条件を漏らさないように注意しましょう。

根拠に基づいて主張できているか

自分の主張をした後は、その根拠を示さなければいけません。

「私が好きだから」「私はこう思うから」という主観的な理由だけではいくら主張しても説得力がありませんよね。

中立的な立場からの客観的な根拠が必要です。

根拠に関しては、次の理由で減点になるケースが非常に多いです。

  • 理由になっていない
  • 理由・説明が不足している
  • 根拠が偏っている

順に見ていきましょう。

理由になっていない

I think teleworking should be more encouraged in Japan. One reason is that people can work from home.
日本ではテレワークをもっと推奨すべきだと思う。理由は、家で仕事ができるようになるからだ。

こういうパターンはよくあるのですが、「家で働ける」というのはテレワークの説明に過ぎません。

これだと「理由」になっていないことは分かりますか?

頭の中では恐らく、「家で働けること」によるメリット(例:通勤しなくていい)が浮かんでいるのだと思います。「家で働ける」と書けばそのメリットが連想されるため、これだけで理由になっているように思うかもしれません。

でも、読者にはその「メリット」の部分が伝わっていないため、なぜそれを推奨すべきなのかが分かりません。

家だと十分な設備が無くて仕事効率が下がる人もいるかもしれません。そういう人にとっては「家で働くこと」はデメリットですよね。そのため、「家で働けるようになるから」だけでは、「テレワークを推奨する理由(メリット)」にならないのです。

「それが何故いいことなのか」「それにどういうメリットがあるのか」を書いて初めて「理由」になります。

「どういうメリットがあるのか」までちゃんと書けているか、第三者の視点で確認してみましょう。

…because it will enable people to maintain a healthy work/life balance. For example, …
何故ならテレワークによってワークライフバランスを保ちやすくなるからだ。

…because working from home instead of at the office will enhance work efficiency. For example, …
何故ならオフィスではなく家で働いた方が仕事効率が上がるからだ。

理由・説明が不足している

次の例のように、理由は書いてあるけれどもその補足や具体例が無いものは、根拠として不十分です。

I think teleworking should be more encouraged in Japan. One reason is that working from home will enable people to maintain a healthy work/life balance. Another reason is that…

日本ではテレワークをもっと推奨すべきだと思う。理由のひとつは、テレワークによりワークライフバランスが保てるようになるからだ。もう一つの理由は…

確かにメリットは書いてありますが、この一文だけではイメージできない人もいますし、納得できない人もいるからです。

理由を書いたら必ずそのあとに補足具体例を入れ、その根拠を補強してください。

理由とその補強(例、補足)はセットです。
補強までして初めて「根拠を一つ挙げたことになる」というイメージを持つといいですよ。

One reason is that working from home will enable people to maintain a healthy work/life balance. For parents who commute to their office, it may be hard to get home by the time of dinner. However, if they work from home, they will have more chances to have dinner with their kids at home. It will also enable people with small children to work, taking care of children. Another reason is that…

一つ目の理由は、テレワークだとワークライフバランスが保てるからだ。【例①】通勤が必要な場合、夕食の時間までに帰宅するのは難しいかもしれない。でも、家で仕事が出来れば、子供たちと一緒に自宅で夕食が食べられる機会が増える。【例②】それにテレワークであれば、小さな子供がいる人でも育児をしながら働くことが可能になる。もう一つの理由は・・・

根拠が偏っている

次のような場合も説得力に欠けるため減点になります。

  • 理由が主観的なものばかりで客観性が乏しい
  • 物事を多面的に見ておらず、反対意見の立場を軽視している

自由英作文で取り上げられるトピックは、「交通ルールは無視してよいか」のような「正解があるもの」ではなく、「正解が無いもの」です。

正解は無いため、どの意見を選択しても構いません。ただ、何を選択したとしても、それとは別の立場(反対意見)が必ずあります

一方的な意見だと思われないようにするためには、そういう反対意見についても理解を示したり譲歩したりできていることが大事です。

  1. 反対意見を提示する
    お客さんと直に接する接客業など、物理的にテレワークが不可能な職種もある。
  2. 理解を示す
    もちろん、全ての職種でテレワークを推進すべきだとは考えていない。でも、設備投資や仕事のやり方を変えれば実現できる職種については、テレワークは推進すべきだと思う。また、全ての業務の移行は無理でも、事務作業など一部だけであればテレワークへの移行が可能な場合もあるかもしれない。

反対意見に対する「解決策」を提示するのも有効です。

  1. 反対意見を提示する
    テレワークだと部下の仕事の進捗が見え辛いなど課題もある。
  2. 解決策を示す
    でも、進捗確認のために定期的に会話の機会を設けたり、スケジュール管理ツールを導入したりすればこの問題には対処できる。

反対意見を一方的に否定するのではなく、理解を示した上で、論理的に、冷静に反論しましょう。

意見が主観に寄り過ぎだったり、過激な表現をし過ぎたりしないように注意することも大事です。

反論の仕方と注意点については「英作文でメリットとデメリットを論じるときの注意点と反論パターン」をご覧ください。

論理に飛躍はなく一貫しているか

全体の構成としては、下図の英文エッセイの型(テンプレート)にそって構築していれば問題はありません。

英文エッセイの型(導入、本論、結論)
英文エッセイの型

また、全体を通して下記の二点も重要です。

  • 主張が一貫しているか
  • 論理が成立しているか

具体例の説明が盛り上がり過ぎて話が逸れてしまうことはよくあります。また、反対意見のメリットを書いている間に自分の主張がブレてしまうということも起こり得ます。

どちらも勢いで書いていると起こりやすいです。

これを防ぐためには、書き始める前に構成をしっかり練っておくことが大事です。

エッセイの構成と作成プロセスについては「英文エッセイの構成|自由英作文の書き方・組み立て方」で詳しく説明していますので、不安な方は確認してみてください。

英文エッセイの内容構築の対策と勉強法

ここまで、エッセイの内容点に関わるポイントと良くない例を見てきました。ここからは対策と勉強法を簡単にご紹介します。

エッセイはいきなり書き始めず、まず構成を考える

自由英作文はいきなり書き始めず、まず構成を考えるのが鉄則です。

構成を練るときは、ここまで見てきた「根拠」と「論理展開」のポイントを意識しましょう。

下の型(テンプレート)に埋めていく感じで要素を入れていき、構成(骨組み)を完成させます。

主張
根拠①

 理由
 補足・例
根拠②

 理由
 補足・例
結論

論理構成は第三者に評価してもらう

ここまで見てきた内容構成のポイントは英語力とは関係がありません。

構成力の練習をするには日本語で十分です。構成に自信が無い人は、日本語で構成の部分のみ練習することをお勧めします(2~3個作ってみると慣れてきますよ)。

説得力や論理展開に関しては、自分としては「成立している」「よくできている」と思っても、第三者には通じないことも多々あります。

思考は癖なので、他者から指摘してもらって直していくしかありません。そのため、構成の出来については先生や友達など第三者に見てもらうのがおすすめです。

私も論文を書くときは論理展開に問題が無いか第三者に確認してもらいます。何度か見てもらうと自分の思考パターンの癖にも気付けますし、自信も付くのでメリットが大きいですよ。

時事知識を増やす

構成を練る以前に、時事問題がトピックの場合など、単純に背景知識が不足しているだけの場合もあると思います。

知らないことについては当然まともな主張はできません。エッセイでは時事問題がトピックになることもあるため、よくニュースで話題になっていることや取り上げられている課題などについては一般常識として知っておく必要があります。

何も新聞を読む必要はありません。テレビやネットのニュースで十分ですし、隅々まで知る必要もありません。「どんなことが話題になっているのか」を知っておく程度で大丈夫です。

もちろん時事が苦手な人は敢えて新聞やニュースサイトで勉強してみるというのもアリだと思います。

おわりに

自由英作文の「内容」に関わるポイントと気を付けたい点はクリアになったでしょうか?

自由英作文で伸び悩んでいる人には、「英語にするところ」ではなく、その前段階の「構成」が課題の人が多い気がします。

ぜひ今回説明したポイントを踏まえて構成の練習に力を入れてみてください。英語にするのはそれからで十分ですよ。

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