自由英作文で一番大切なのは内容ですが、英語の課題である以上、もちろん正確性にも気を付けなければいけません。
構文のミスは単なる理解不足によるものなので置いておくとして、そのほかにも文法上の理由で減点されている人は多いと思います。
今回は、高校生の自由英作文に多いミスと問題点を紹介します。構文的な知識の問題ではなく、少し意識すれば避けられるものばかりです。
こういったミスで減点になるのはとてももったいないですし、これが無くなると全体の印象もぐっと良くなりますよ。

減点回避と印象アップのために押さえておきたいポイントを整理しましたので、ぜひ次回の英作文から気を付けてみてください。
自由英作文でよくあるミス
高校生の英作文で多いのが以下のミスです。心当たりがある人もいるのではないでしょうか?
- 冠詞のミス・漏れ
- 接続詞がないのに節を繋げてしまう
- -ing形と-ed形の形容詞の混同
- 文章の途中なのに大文字が混ざっている
- 必要な箇所でのコンマ漏れ
文章全体に影響するミスではないケアレスミスだし、、、と思って軽視している人も多いかもしれません。
しかし、構文のミスじゃないからこそ、こういうミスのある「詰めの甘い答案」は印象が悪いです。
難しい構文が使えていなくても、細部にまで注意できている丁寧な答案の方が全体の印象はいいものですよ。
以下ではひとつずつ簡単に見ていきますので、これまで指摘されたことがある点があれば是非今後意識してみてください。
冠詞のミス・漏れ
冠詞の概念は非ネイティブには難しいですよね。ですが、自由英作文で求められるレベルでは高度な理解は必要ありません。
- 単数名詞のときには冠詞を付ける
- 冠詞を付けないなら(複数のつもりなら)名詞は複数形にする
- 可算名詞と不可算名詞を区別する
- 集合名詞に a を付けない
a と the の区別も大事ですが、それよりもまず①と②のミスを完全に無くすことを目指しましょう。
a と the の間違いは添削者もそれほど気にしません(たぶん、完ぺきに使い分けられる人が少ない)。
でも、単数名詞なのに冠詞が無かったり、複数のはずなのに単数形になっているというミスは意識すれば確実に防げるものです。ケアレスミスで印象も悪くなってしまいますので、このミスには特に注意しましょう。
接続詞がないのに節を繋げてしまう
レベルに関わらず非常に多いのが、接続詞なしで節(文)を繋げてしまうミスです。
些細なミスに思われるかもしれませんが、「ひとつの文章には主語と動詞は一つずつ」という大原則を逸脱しており、立派な非文です。絶対に避けましょう。
接続詞を入れ忘れているパターン
although, because, as などの従属接続詞を入れ忘れているケースや、and, but, so などの等位接続詞を入れ忘れているケースなどパターンは様々ですが、接続詞が無いのにコンマだけで節を繋げてしまっているミスはよくあります。
- This problem not only affects people, this also damages the environment.
うっかりミスが原因だと思いますので、焦らず丁寧に見直しましょう。
副詞やフレーズを接続詞のように使ってしまっているパターン
もう一つ多いのが、副詞を接続詞のように「節の接続」に使ってしまっているケースです。もちろん副詞にそのような機能はありませんので、非文です。
especially, particularly, in particular, for example の後に節を続けてしまうミスが特に多いですが、これらの単語・フレーズは接続詞ではありませんので、後ろに節は続けられません。
- We enjoyed the party a lot, especially I was amazed by the delicious food served there.
- Kyoto has many tourist spots, in particular, it has a lot of old shrines and temples.
- I often play sports, for example, I play baseball every Sunday.
後ろに名詞句(単語)を続けるだけならコンマで続けられます。
- We enjoyed the party a lot, especially its delicious food.
でも、後ろに節を続けたいのであれば、コンマではなくセミコロンで続けるか、新しい文章で始める必要があります。
- We enjoyed the party a lot; especially, I was amazed by the delicious food served there.
- We enjoyed the party a lot. Especially, I was amazed by the delicious food served there.
このほか、however を接続詞のように使ってしまうケースもよく見ます。
- We discussed the problem, however, we couldn’t find a solution.
しかし、however は副詞のため but と同じようには使えません。この点については以前別の記事で解説しましたので、下記をご参照ください。


-ing形と-ed形の形容詞の混同
単語のミスでは、形容詞の -ed形 と -ing形 の間違いが多いです。
- I was exciting about the game.
- I feel relaxing at home.
-ed形と-ing形がある場合、それぞれの意味を個別に覚える必要は無く、能動か受動かで判断できます。具体的には下記で説明していますので、自信の無い方はチェックしてみてくださいね。


基本のルールさえ覚えておけば混同することは無くなりますので、ぜひ早いうちにマスターしてしまいましょう。
文章の途中なのに大文字が混ざっている
ある程度のレベル以上の人には見られませんが、文章の途中なのにうっかり capitalize してしまう人がたまにいます。
とくに、it とか this とかの短い単語の場合が多いです。理由は分かりませんが、小文字のルールを知らない訳ではないと思いますので、うっかりミスでしょう。
- I think that It should be changed.
- Although the new computer is light, It is still not easy to carry around.
癖になっている人も多いようですので、指摘されたことがある人は見直しの時に気を付けてみましょう。
必要な箇所でのコンマ漏れ
必要な箇所にコンマを欠いているミスもよく見られます。コンマは軽視されがちですが、立派な文法ミスですので気を付けてくださいね。
特に、関係代名詞の非制限用法や挿入句の前後でのコンマ漏れが多いです。
コンマの用法は下記でまとめていますので、自信が無い方はこちらをご覧ください。


文法的なミスではないが、よくある指摘事項
文法上のクリティカルな問題ではないため非文ではないのですが、英作文で指摘することが多いのは「文章が長すぎる」ということです。
文章は長ければいいというものではない
もしかしたら、「長い文章が書けた方がいい」と先生から言われているのかもしれませんが、それは完全なるミスリードで、誤解です。
文章が長くなると、自分が思っている5倍は読み辛くなると思ってください。
英作文を読む(添削する)のは他人です。自分的には全く違和感が無くても、他人が読むと恐ろしく読み辛いものです。
英語に限らず、文章は出来る限り無駄をそぎ落とし、端的に書くのが「思いやり」であり「セオリー」です。
一文で書けるものはもちろん一文で書けばいい
短い方がいいというと語弊があるかもしれないので補足ですが、もちろん一文で書いた方が自然なものを敢えて複数の文章に分ける必要はありません。
関係代名詞を使えば一文で表せるもの、対比の接続詞やフレーズを使えば一文で表せるもの、比較構文を使えば一文で表せるものなど、構文を使った方が端的に表現できる場合はあるでしょう。
構文・複文・重文を使うことを否定している訳ではありません。すべて SVO の文章では文法知識が無いと思われてしまいますし、表現できる事柄も少なくなってしまいますしね。
ただ、「長ければいいというものではない」「二文に分けることが悪いことではない」ということは認識して欲しいです。
等位接続詞で不必要に文章を繋げないこと
英作文で問題なのは、and・but・so で必要以上に文章を繋げていることが多いということです。
等位接続詞を複数使い、節を3つ以上繋げている文章もよく見ますが、最大でも2つまでにしましょう。
前後が全く別の話なのに and で繋げているケースもよくありますし、文章を切って However で始めればよいところを but で繋いでわざわざ長文にしているケースも多いです。
文章が長くなると主眼が分かり辛くなり、言いたいことが伝わらなくなってしまいます。
等位接続詞で繋いでいるものは、わざわざ繋がなくても成立する場合がほとんどです。
潔く文章を切り、端的な文章にすることを心がけましょう。そうすると、英作文全体の印象がぐっと良くなりますよ。
ミスの多い文法事項・構文
文法解説は本稿の主眼ではないため詳細は語りませんが、文法ミスで多い領域も紹介しておきますね。
自信のない文法については問題集・参考書でじっくり理解を深めましょう。
時制
現在形・過去形の区別は基本中の基本ですが、高校生の英作文でもこのミスは非常に多いです。
一文の中で複数の動詞が出てくる場合に、ある場所では正しく書けているのに他の場所では時制の変化を忘れているケースが特に多いです。
理解していない訳ではなく、ケアレスミスの場合がほとんどだと思います。



動詞を使う時は常に時制を意識するようにしましょう。
仮定法
仮定法も苦手としている人が多いようです。
とくに、確度の高い未来の話や条件文など、通常の If節 で表せるものに対して仮定法過去を使ってしまうケースが多いです。
- もっと練習すれば絶対に優勝できる
- 一生懸命勉強すれば上のクラスに上がれるはずだ
- 東京に行ったら浅草に寄りたい
- 選択授業を増やせばもっと生徒の積極性は増すと思う
自由英作文で仮定法が必要な文脈というのは、過去の事実に対する仮定など限られていると思います。
仮定法で減点になったことがある人は、どういう場合にこの文法を使うのかという点に注目して復習してみてください。
現在完了・過去完了
これも時制ですが、過去形で表現すべき所で完了形を使ったり、現在完了と過去完了を混同してしまっている人は多いです。
仮定法と同様、どういう時にこの文法が必要なのかという点をまず理解するようにしましょう。



自由英作文で書く文章・文脈なら、過去形でいい(過去形が適切な)場合がすごく多いと思いますよ。
おわりに
構文や文法事項の理解は英作文の勉強とは別ですべきですが、そのほかの細かなミスで減点されている人は多いと思います。
こういう小さなミスはケアレスミスだからと軽視されがちですが、全体の印象(レベル)を左右するのは構文のミスよりむしろこうした「防げる」ミスです。
また、文章が長いせいで読み辛くなり、言いたいことが適切に伝わらなくなってしまうのも英作文では致命的なので避けたいです。
今回紹介した点がクリアできているだけで、全体の印象はとても良くなりますよ。
知識の問題ではなく心がけで対処できることがほとんどだと思いますので、ぜひ次回の英作文から気を付けてみてください。