分詞構文|英文を短くするのに便利な文法

英語論文を読み書きするようになって最初に気付いたのは、英文(書き言葉)では分詞構文がとてもよく使われるということでした。

それまでは分詞構文なんて「学校英語のための文法」「読んで理解できればいいもの」だと思っていて、自分が英文を書くときに率先して使ったことなんてありませんでした。

でも、実用英語(書き言葉)ではすごく一般的な文法なんですね。

同じ意味の文章でも分詞構文を使えば短く端的に表現することができるため、アカデミックライティングには欠かせない文法でした。(高校で習う全ての用法が同等にメジャーという訳ではないんですけどね。)

もちろん分詞構文を使わなくても同じことは表現できるため、言いたいことを表現するだけであれば敢えて使う必要はありません。

ただ、アカデミックライティングをされる方や英語の長文を書く機会が多い方は使えた方が絶対に楽だと思います(読者にとっても)。今まで避けていた方も、ぜひこの機会に分詞構文を取り入れてみてください。

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分詞構文

分詞構文というのは、接続詞や前置詞を使うことなく、分詞(現在分詞・過去分詞)だけで「付帯状況」「理由・原因」「時」「譲歩」「条件」「結果」などを表す表現法です。

先にも述べましたが、この用法すべてが等しくメジャーかと言われるとそうではないようです。

英語の書き言葉でよく使われるのは、「付帯状況」「結果」の用法です。皆さんがライティングで使うのもこの用法だけでいいと思います。

その他の「理由・原因」「時」「譲歩」「条件」の用法で分詞構文が使われている文章は稀です。個人的には、この用法での使用はむしろ避けた方が良いと思います。理由は後ほど説明しますね。

分詞構文:付帯状況

ライティングでよく使う分詞構文の用法のひとつが、付帯状況です。「~しながら」という意味のやつですね。

とくに「~を使って」という using は、めちゃくちゃ頻繁に使います。

手段・方法・道具を説明するときは by や with がまず思い浮かぶ人が多いのではないでしょうか?私も以前はそうでした。

もちろん前置詞が適切なケースもありますが、一度 using が選択肢に入ると、もう出場回数は using がダントツです(笑)。手段でも道具でも使えて便利ですし、実際本当によく見かけます。ぜひ、みなさんも明日からガンガン使ってください。

You can open a bank account using a smartphone.
スマートフォンで銀行口座を開設することができる。

He solved the problem using a formula no one knew.
彼は誰も知らない公式を使って問題を解いた。

These data were calculated using last year’s data.
このデータは昨年のデータから算出したものです。

たまに “with using” としてしまう方も見かけますが、分詞構文のため using だけで「~を使って」という意味になりますので前置詞の with は不要です。

  • She drew this picture with using a digital pen and a tablet.

もちろんよく使うのは using だけではありません。付帯状況の説明になるものであればどんな動詞も使われます。

「~して」とか「~しながら」などの文脈ではまず分詞構文の使用を考えてみてください。思いの外使える場面が多いと思います。

Please process this order following the new rule.
この注文は新しいルールに従って処理してください。

They left the room, leaving their belongings.
彼らは荷物を置いて部屋を出て行った。

We have many female employees working from home, taking care of children.
当社には家で育児をしながら働く女性社員がたくさんいます。

I fixed the problem by myself, referring to the user guide.
ユーザーガイドを参考に、自分で直しました。

We will proceed with this project, consulting those in the manufacturing department.
製造部門の人たちと相談しながら、このプロジェクトを進めていきます。

分詞構文を使わなくても同じことは表現できますが、そうするためには前置詞句を使ったり接続詞の and を使ったりと必要な語数が増えるはずです。分詞構文を使えばそうした単語がカットでき、少ない語数で表現できるのがメリットです。

depending on(~次第で)や according to(~に従って、~によれば)などはもう慣用的な表現ですが、これも分詞構文ですね。

Participation fees vary depending on age.
参加費は年齢により異なります。

We provide training annually according to the guidelines.
ガイドラインに沿った研修を毎年実施しています。

付帯状況の with

付帯状況の with を用いた「with + ○○ + 分詞」の文法も英文ライティングではよく使います。

こちらは下記で説明していますので、よければ併せてご覧ください。

分詞構文:結果

付帯状況と並んで英文(書き言葉)で非常によく使われるのが結果の用法です。

接続詞 “and” や非制限用法の関係代名詞 “, which” を使っても同じことは表現できますが、分詞構文を使えば and や which をカットできます。

たった一語でも単語が少ない方が省エネのため、アカデミックライティングでは重宝されるんですね。

実際私は “which” で前の文を受けて繋げる形をよく使っていたのですが、ネイティブの英文校正に出すとこの形はことごとく分詞構文に直されます。時制の関係で助動詞が必要な場合を除くと、ほぼ100%分詞構文に変換される感じですね(笑)。

  • lead to
  • result in
  • cause
  • contribute to

などの表現は前の文を which で受けて書きたくなると思いますが、助動詞が必要な場合でなければ、ぜひ分詞構文を使ってみてください。

The vaccination rate exceeded 70%, leading to the reduction of infected people.
ワクチン接種率は70%を超え、感染者の減少につながった。

This product made a great hit this year, resulting in a 20% increase in sales.
この製品は今年大ヒットし、売り上げが20%アップした。

We use the latest computer system, contributing to its high work efficiency.
同社では最新のコンピュータシステムを導入しており、高い作業効率に貢献しています。

A big storm hit the town, causing a terrible flood.
大きな嵐が町を襲い、ひどい洪水に見舞われた。

Our school provided laptops to all students, enabling online classes.
全校生徒にノートパソコンを配布し、オンライン授業が可能になりました。

注意点

上の例文は短い文章ばかりですが、具体的な説明をしたい文章なんかだとひとつひとつの節がとても長くなってしまうこともよくあると思います(←私はめちゃくちゃあり、よく怒られます)。

そういう場合は分詞構文で繋げるよりも文を切ってしまった方がよいかもしれません。

分詞構文を使う意図は文章を「短く端的に」するためだったはずです。

繋げることで逆に長くなってしまうようでは本末転倒です。

どんな時でも分詞構文を使った方が「端的で良い」という訳ではありませんのでご注意くださいね。部分の最適化ではなく、あくまで文全体で考えましょう。

その他の用法では率先して使う必要はない

分詞構文では「付帯状況」と「結果」の他に、「理由・原因」「時」「譲歩」「条件」も表現できると高校では習いましたよね。

でも、体感としてはそうした用法で分詞構文が使われるのは稀です。

「理由・原因」「時」「譲歩」「条件」を表したいなら、接続詞を使おう

これは個人的な見解ですが、理由・時・譲歩・条件を表したいなら、接続詞を使った方が文意が明瞭になるからだと思います。

「理由」なのか「時」なのか、はたまた「譲歩」なのかって、その文章にとってめちゃくちゃ大事な要素じゃないですか?その解釈を読者任せにするなんてかなりリスキーだと思います。

自分の意図した内容とは違う解釈をされてしまっては困りますし、伝えたい内容が正しく伝わらないのはライティングとしては失敗です。読者にとっても、意味が一瞬では入ってこない(確定しない)のは多大なるストレスです。

理由なら because や as、譲歩なら although など、意図に合う接続詞を使えば済む話です。

文章を短くするのも大事ですが、それ以上に大事なのは文意が明瞭であることです。

理由・譲歩などの用法であえて分詞構文を使う必要性は私には理解できませんし、実際見かけることは少ないです(もちろん、文書の用途・使用場面によりますが)。

「~したところ」などの文脈では便利

とはいえ当然、付帯条件や理由以外の用途では使用してはいけないという訳ではありません。実際私も使います。

ただ、「別に誤解があってもいいとき」「解釈が限定されるとき」「理由・原因などの大事な意味は含まないとき」など、使う場面や文脈は考えています。

例えば、「~したところ」という文脈、接続詞で言うと after や when に相当するような文脈ではたまに使います。分詞に持たせたい「接続詞の意味」に重要な意味がない時なら、上で危惧したようなリスクも少ないですしね。

Listening to his lecture, I became more interested in economics.
彼の講義を聞いて、経済学に興味を持ちました。

Being stratified by gender, the incidence rate was higher in women than in men.
性別で層別したところ、男性より女性の方が発症率が高かった。

Not having any clue, we tested every pattern.
手がかりがなかったので、あらゆるパターンを試しました。

Considering its environmental benefits, this service should be further facilitated in Japan.
環境面でのベネフィットを考えると、このサービスは日本でももっと普及させるべきでしょう。

最後の considering はもう分詞構文というよりは慣用的な表現ですね。considering の用法については以下でも紹介しています。

このほか、”generally speaking” “judging from” など慣用表現になっているものはもちろん気兼ねなく使えばいいと思います。

おわりに

分詞構文は「見て分かればいい」という派の方もいらっしゃると思います。口語では慣用表現くらいでしか使いませんし、英語の用途によっては確かに不要だと思います。

ライティングをする方でも、「言いたいことを伝える」のが目的であれば敢えて使う必要はありません。

ただ、アカデミックライティングをされる方や長文を書かれる方であれば、使えた方が何かとメリットがあると思います。付帯状況・結果の用法は実際よく使われていますし、使える文脈も多いです。

今まで避けていた方も、ぜひ普段のライティングで使ってみてください。

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