使える?高い?英文チェックツール Grammarly 有料ユーザーの感想

既存の AI 英文校正ツールで最もポピュラーな『Grammarly(グラマリー)』。精度の観点では他を圧倒しているため、Ginger などの他のツールとは比較検討するまでもありません。

でも、① Free プランで大丈夫か、② 課金して Premium プランにするか、は悩むところだと思います。

私はドケチなので随分悩みました。

結局私は、Free プランで数カ月粘った後、Premium プランにアップグレードして現在に至ります(まんまとビジネス戦略に乗せられていますね)。

私のように課金すべきか否かでお悩みの方は多いと思います。

そこで今回は、ひとりの Premium ユーザーとしての率直な感想をお伝えします。あくまで一人の経験・意見ですが、アップグレードに迷っている方のご参考になれば幸いです。

INDEX

Grammarly(グラマリー)とは?

Grammarly(グラマリー)は、AI を駆使した英文チェックツールです。

開発元:Grammarly Inc.
公式サイト:https://www.grammarly.com/

文法や句読点、スペルミスのチェック(間違いの指摘と修正案の提案)だけでなく、冗長な表現やトーン(formality)の指摘もしてくれます(課金ユーザーの場合)。

※ただし、指摘理由や修正案のコメントは全て英語です。日本語対応はありません。

Grammarly の使い勝手:どういう場面で使えるのか?

Grammarly はブラウザ上(Grammarly Editor)での使用はもちろん、アプリ(?)の種類が豊富です。

Windows でも Mac でも、ブラウザ上でも他のプログラム(メール、SNS、チャット)使用時でも、Word でも Google Doc でもどこでも使えるように、各種プログラムが提供されています。

「使いたい場面で使えない」みたいな不自由は無いと思いますよ。

Free プランと Premium プランとで、使用できる環境に差はありません(どちらのプランでも以下ダウンロードできます)。

  • Grammarly for Your Desktop
  • Grammarly for Windows
  • Grammarly for Mac
  • Grammarly Browser Extension
  • Grammarly for Chrome
  • Grammarly for Safari
  • Grammarly for Firefox
  • Grammarly for Edge
  • Grammarly for MS Office
  • Grammarly for Google Docs
  • Grammarly for iPhone
  • Grammarly for iPad
  • The Grammarly Keyboard

自分の使いたいデバイス・場面に適したものをインストールすればよいのですが、Grammarly for Windows(もしくは Mac )と Grammarly for MS Office を入れておけば万能です。

Grammarly for Windows

Windows または Mac 用のプログラムをインストールすれば、Word でもメールでも、ウェブブラウザ、チャット、SNS でもどこでも、文章入力するときにはいつでも Grammarlyが現れて、リアルタイムでチェックしてくれるようになります。

↓文字を入力しているとコイツがずっと付いてくる・・・というか、現れます。笑

Grammarlyのマーク

で、こちらから何か能動的な操作をしなくても勝手にチェックをしてくれるようで、ミスがあると指摘してくれます。

「Accept」を押せば勝手に修正してくれるため、自分で書き直す必要はありません。もしその指摘が不適切だったり無視したい場合は、「Dismiss」を押せばスルー出来ます。

Grammarlyの英文チェック例

わざわざ Grammarly を起動したりマイページ(Grammarly Editor)に行って文章をコピペしたりする必要はありません。使用しているツール・アプリ上でそのままリアルタイムに確認・修正が出来るため、とても便利です。

鬱陶しい時やチェック不要の時は、歯車マークからそのサイト・アプリ・プログラム上でのチェックを停止(または1時間停止)することもできますよ。

Grammarlyの停止画面

スピードが命のチャットとかではタイポなんてどうでもいいので、私は off にしています。(Grammarlyが起動していると動きが遅くなるので)

ダウンロード

ダウンロードはコチラからどうぞ。

Grammarly for Windowsのダウンロード画面

OS用をひとついれておけばウェブだろうがメールだろうがメモ帳だろうがテキストを入力する場面では作動するので、Chrome 用など他のを入れる必要はありません。

Grammarly for MS Office

以前は MS Office のアドインがあり、これを入れればワードのページごとにGrammarlyのコメントを一覧で確認することができました。

作業効率が上がってとても便利だったのですが、このアドインは残念ながらアップデートされないようです。(;_;)

今は Office のアドインを入れても上のように小っちゃなアイコンが出てくるだけなので、わざわざアドインをインストールする必要はありません。上で紹介した Windows 版をインストールしていれば Word でも使えますよ。

Grammarly Editor

一方、使用頻度が少ない人や短いテキストで使用することが多い人は、Grammarly Editor(https://app.grammarly.com/)上で作業するのが簡単でおすすめです。

直接タイプ or コピペでもいいですし、校正したい文書ファイルをアップロードすることも可能です。

Grammarly Editor上での作業イメージ

作成した文書(ファイル)は自動でクラウド保存されますので、過去に作成した文書も簡単に見ることができます。

Grammarly のプラン:Free(無料)と Premium(有料)の違い

Free プランはもちろん無料です。一方、Premium プランは 月額 $12~(1年契約の場合の月額換算)です。

1カ月、3カ月、1年契約が選べます。長期契約ほど割引率は高く、月当たりの費用はお得になります。ただ、一括払いのため初めにたくさんかかります。

  • Monthly Subscription: $30 USD/month
  • Quarterly Subscription: $60 USD/three months (billed as one payment)
  • Annual Subscription: $144 USD/one year (billed as one payment)
  • 2022年4月時点の情報です。最新の料金は公式サイトをご確認ください。

上述した通り使用できる環境にプラン差はありませんが、機能には当然差があります。

プランによる機能差:英文チェックの内容

下の表でご覧いただけるように、Free プランでは最低限の文法・スペルチェックのみ可能です。

冗長な表現の訂正やトーン(formality)の修正、よりよい単語の提案などの機能は、Premium でしか享受できません。

FreePremium
Spelling
Grammar
Punctuation
Spelling
Grammar
Punctuation

Clarity-focused sentence rewrites
Tone adjustments
Inclusive language
Word choice
Formality level
Fluency
Additional advanced suggestions
Free と Premium のチェック内容の差(公式サイトより引用)

メールや SNS などでのタイポや文法ミス(句読点含む)の訂正に使いたいという目的であれば、Free で十分です。

一方で、レポートやエッセイなどある程度の分量があるテキストについて、冗長・読み辛い文章といった文章構造や word choice についてもチェックして欲しい(一般的な英文校正のイメージ)ということであれば、Free では全く要望は満たされませんのでご注意ください。

双方のプランを使用した感想

私は Free でしばらく使ってから Premium にアップグレードしましたので、機能の差は体験済みです。

それぞれを使用して感じたことを記しておきます。あくまで一人の感想ですが、Grammarly の導入を迷っている方、アップグレードに悩んでいる方のお役に立てば幸いです。

[無料] Free プラン

気に入ったところ・良かったところ
  • タイポなど気づかないものを瞬時に直してくれるため、時間をかけたくないビジネスメールなどでは超便利。
  • 文書全体ではなく、単文レベル(1~2文)で気になる文法を確認するには十分。
不満なところ
  • チャットだと重くなって固まる(だからチャットでは機能を Off にしていた)。
  • 冗長な言い回しや読み辛い文章の指摘はしてくれないため、文章に不安は残る。
  • Premium 限定のチェック項目に関しても、問題がある場所に「マーク」は付く。ただし、指摘理由やコメントは表示されないため何を対処すればよいのか分からなく、不安だけが残る。

私がアップグレードに踏み切った一番の理由は、一番最後に挙げた不満を解消したかったからです。

「Free は最低限の文法ミスしか見ない」というなら、そのほかの項目についてはマークしないで欲しかったです。何か問題があることは知らされるのに、その理由は分からないから解消できないんですよね・・・。

「マークだけでもあればヒントになる」と喜ぶ方もいるのかもしれません。でも、私はケチだけ付けられている気がしてめちゃくちゃ気になりました(笑)。アップグレードしたくなるようにという思惑があるのは分かるんですけどね。

とはいえ、これは私が長文のテキストに Grammarly を使用していたから生じたことでもあると思います。

ビジネスメールや2~3文のチェックだけなら Premium Only の指摘項目に引っかかること自体が少ないと思いますし、あってもマーク1~2個であれば普通にスルーできる範疇だと思いますから。

[有料] Premium プラン

気に入ったところ・良かったところ
  • 長い文章を短くしたり、より better な単語を提案してくれたりと、「英文校正」をしている実感がある。
  • トーンのチェックもしてくれて、より丁寧・適切な表現への変更も提案してくれる。
  • 数十ページのワードファイルの場合は Office のアドインを使うと作業効率が爆上がった。
  • 色んな場面で英語を使用する(チャットでも使うし、論文も書く)身としては、特定の文体に特化していないことはメリットだと感じた(汎用性が高い)。
不満なところ
  • アカデミックな文体を指定すると、受動態はことごとくマークされる(全体のバランスを考えた取捨選択はしてくれない)。受動態への指摘を「Off」にすることもできるが、そうすると受動態への指摘自体が全て無くなる。
  • アカデミックな文体を指定しても、例えば「研究論文の文体にふさわしいかどうか」というレベルではチェックされない。
  • 月$12 は高い。
気を付けた方がいいこと(注意点)
  • 元の文章は何だったかという観点ではチェックされないため、自分で制御する必要がある。
    • 修正を「Accept」し続ける(修正された文章に更に修正が入る、というのを2~3回繰り返す)と、元の文章と文意が変わってしまっていることがある。
    • 構文を変えてくれることがあるが、修正案を受け入れると意味が変わってしまうこともある。

Premium にすると満足感が全然違いましたね。
特に私は文章が長くなりがちなので、「短く・端的に」という指摘をしてもらえるのはとても助かっています。

メールでWeekly Reportが届く

Grammarly を使っていると毎週 weekly report が届きます。このレポートによると、控えめに言っても私はかなりのヘビーユーザーのようです。笑

weekly report
Grammarlyから届く weekly report

文章をたくさん書いたからといって productive かどうかは分からないのでこの数値はどうでもいいのですが、他にも文体のトーンや多かったミスなども集計してくれています。自分のライティングを客観的に見つめるきっかけにはなりますよ。

toneの集計
common mistakeの集計

私は冠詞やコンマの指摘が多いので、「気を付けなきゃな」という気持ちになります。

Premium プランにアップグレードすべきか?

以下のような方は、Free プランで満足できると思います。

  • メール・SNS の文章や「レポートの気になる箇所だけ」など、短い文章のチェックがメインの人
  • 最低限のスペル・文法ミスのチェックが出来ればいい人
  • あくまで簡易なチェックが目的で、最終的には人による有料の英文校正サービスを受ける予定の人

逆に、上記以上のことを求める方は Free プランでは満足できないと思いますので、アップグレードを考えてもいいと思います。

特に、ビジネスやアカデミックの場面で必須の Clearness & Conciseness の観点からチェック・修正して欲しいという方はアップグレード必至です。

日本人は受動態を多用しがちですし、ついつい長い文章を書いてしまう人も多いと思います(←私のこと。笑)。簡潔な表現の提案はとても助かりますよ。

あとはもう費用的な問題ですね。これは人それぞれ価値観が全く異なるため何とも言えませんが、月 $12 が許せそうなら是非試してみてください。^^

【関係ある方のみ】英語論文を作成する方へ

ほとんどの方には関係ないと思いますが、もし校正したい文章が論文やテクニカルな文書に限定されている!という方には、Grammarly よりも Trinka の方がおすすめです。下記でご紹介していますので一度検討してみてください。

また、Premium にアップグレードしたとしても、投稿論文の校正としては不十分です。

大学の thesis paper などであれは気にする必要はないかと思いますが、学術誌に投稿する論文であれば専門の校正にかける方が堅実だと思います。

初めから外部の校正を予定している方は Grammarly に課金しても中途半端になりますので、「セルフチェックは無料プランで出来る範囲に留める」と割り切っても良いのかなと思います。

まとめ

ユーザーとしての個人的な使用感を踏まえ、Grammarly の使い勝手とプランの特徴をご紹介しました。

Free プランで出来ることはかなり限定されているため、いわゆる「英文校正」が必要な人には物足りないと思います。

でも、タイポや小さな文法ミスを瞬時に直してくれるという機能は、あると有り難いです。この機能だけで満足できる人もいると思います。ビジネスで日常的に英語を使用する人には嬉しいかもしれません。

逆に、レポートやエッセイの校正が目的なら Free プランでは全く満たされません。アップグレードを検討してみてください。

大学に language tutor がいてネイティブチェックをしてもらえるとか、最終的には人による英文校正サービスに出すという方は、中途半端に Premium に課金しても勿体ないかもしれません。Free プランにしておくというのも賢い選択だと思います。

皆さんの選択のヒントになる情報がひとつでもあれば嬉しいです。

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