Reference List を手作業で作るときのおすすめ手順|医学論文

論文に必要な Reference List の作成は面倒ですよね。

論文をたくさん執筆される方は、作業効率を考えても EndNote、Mendeley、RefWorks、Zotero などの文献管理ソフトを使用されるのが一番です。

でも、大学院での研究で初めて論文を書く方や頻繁には書かない方なら、自力で十分です。

基本的にはコピペの繰り返しです。わざわざ文献管理ソフトの使い方を勉強する時間の方がもったいないので、ササっと終えてしまいましょう。

できるだけ無駄のない手順をご紹介しますので、参考にして頂ければ幸いです。

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引用文献リストの作成の流れ

修正・変更が出来るだけ発生しない、下記の手順で作成するのがおすすめです。

  1. 引用する文献を固める
  2. 文中の引用箇所には文献が特定できる情報を適当に入れておく
  3. 引用文献の書誌情報をPubMedからコピーしてくる
  4. コピーした文献情報をワードに貼り付ける
  5. 引用文献リストの体裁を規定通りに直す
  6. 文中引用の表記を規定通りに修正する

引用する文献を固める

論文作成中は引用文献の削除・追加・差し替えがよく発生します。

そのため、末尾に付ける Reference List(引用文献リスト)は、最終的な引用文献が固まってから作成すると無駄がありません。

文中の引用箇所には文献が特定できる情報を適当に入れておく

文中引用のルールは投稿先のジャーナルや論文の提出先によって異なります。

  • 上付きの数字:xxx. 1 xxx.2-4
  • 数字を角括弧で囲む:xxx [1]. xxx [2-4]
  • 数字を丸括弧で囲む:xxx (1). xxx (2-4).
  • 著者名&出版年:xxx (Akizuki, 2021). xxx (Ban, 2019; Johnson et al, 2018; Tanaka & Suzuki, 2020).

・・・など。

最初から文献に番号を振ってしまうと変更が生じた時に大変ですし確実に間違えますので、番号に置き換えるのは最後の最後にします。

作成中はどこにどの文献を引用したかが分かれば十分です。本文中の引用箇所には、「著者&出版年」「Webサイトの名前」などを適当に入れておきましょう。

論文作成過程の文中引用

引用文献の引用情報をPubMedからコピーしてくる

文献リストに載せる文献が決まったら、ようやく末尾に付ける引用文献リストを作成します。

Journal Article の場合は、PubMed から文献情報をコピーしてくるのがおすすめです(医学論文の場合)。

PubMedで文献情報を入手する手順

引用したい文献をPubMedで検索すると、ページ右側に「Cite」ボタンがありますので、これを押します。

PubMed上のcitation情報

そうすると文献情報がポップアップで出てきますので、「Copy」してワードに貼り付けます。

Citation情報のポップアップ

ちなみにポップアップの右端にある「Format」のタブからスタイルの変更ができます(AMA、APA、MLA、NLM)。

が、後々の修正を考えると、ここはデフォルトの「NLM」を選んでおくのがおすすめです。全著者名がリストアップされているからです。

例えばここで「AMA」を選択すると、4番目以降の著者は「et al.」で省略されてしまいますが、雑誌の投稿規定で「著者は6名まで列挙する」と指示があった場合、4~6番目の著者名を再度検索し直さなくてはならなくなり面倒です。

Citationのスタイルの変更箇所

コピーした文献情報をワードに貼り付ける

PubMedからコピーしてきた文献情報をワードに貼り付けてリストの準備をします。

情報の整理や書式の調整は最後にまとめてやればよいため、この時点では取り敢えずコピーしたものを順番に貼り付けていきます。

コピーした文献情報をワードに張り付けた様子

Journal Article 以外を引用する場合

本やウェブページなど Journal Article 以外のものを引用する場合はコピーする元がないため、面倒ですが手入力します。

表記サンプルが投稿規定にありますので、それに倣って記載すればOKです。投稿規定にサンプルが乏しい場合は、NLM’s Sample Referencesが参考になりますよ。

基本的には以下の情報を記載します。

本の場合

著者. タイトル. 版. 都市: 出版社; 出版年.

例)Akizuki S, Tanaka Y. Paper writing. 2nd ed. Tokyo: AK Publishing; 2020.

Webで入手した資料やウェブサイトの場合

Websiteの母体. 資料やページの名前. URL. アクセス日

例)International Agency for Research on Cancer. Cancer fact sheet. https://gco.iarc.fr/today/data/xxxxxxxxxxxx.pdf. Accessed Sep. 11, 2022.

引用文献リストの体裁を規定通りに直す

引用文献の情報が全てリストアップ出来たら、リストの体裁を投稿規定の指示通りに調整していきます。

投稿規定にサンプル表記が載っているはずですので、それに合わせて不要な情報を削除したり不足情報を足したりします。

ワード上での体裁の変更

doi というのは文献固有のアドレスです。オンラインジャーナルで雑誌の巻・号・ページが無い場合などには doi での引用が便利です。

オンラインジャーナルではない場合でも doi を入れていい場合や入れることを推奨している場合もあります。

【例】
Okereke OI, Reynolds CF 3rd, Mischoulon D, et al. Effect of Long-term Vitamin D3 Supplementation vs Placebo on Risk of Depression or Clinically Relevant Depressive Symptoms and on Change in Mood Scores: A Randomized Clinical Trial. JAMA. 2020; https://doi.org/10.1001/jama.2020.10224

とはいえ、無くてもいいものを敢えて入れる必要はありません。要否はジャーナルによって異なりますので規定の指示に従ってくださいね。

文中引用の表記を規定通りに修正する

引用文献リストが完成したら、文中引用の表記を既定の指示通りに変更しましょう。

先にもお伝えした通り、一度番号に置き換えてしまうとここからの入れ替えや変更は厄介ですし、ほぼ確実にミスります(笑)。

番号に置き換える前に、引用文献リストに漏れ重複が無いかどうか、慎重に確認してくださいね。

文中引用を番号に置き換えた例
  • 上の図では文献番号を青字にしていますが、もちろん文字色を変える必要はありません。

以上で引用文献リストの作成は完了です。

PubMed以外から文献情報をコピーする場合

Journal Article の文献情報は PubMed 以外から拾ってもいいのですが、PubMed に統一した方がいいのは理由があります。

Google Scholar から得る場合

Google Scholar の場合は、検索結果の下にある「”引用」をクリックすると文献情報が得られます。

Google Scholarの検索画面

が、得られるスタイルがMLAかAPAで、医学論文の場合は使い辛いのでおすすめできません。

ワード上で体裁を直す手間を出来るだけ避けたいですし、著者などの不足情報を足さなければならないのは面倒です。

文献情報のポップアップ

ジャーナルのオリジナルサイトから得る場合

掲載されているジャーナルのサイトでももちろん文献情報はコピーできます。

レイアウトはサイトによってバラバラですが、”citation information” の情報は必ずありますので、タイトル付近を探してください。

ジャーナルのサイトイメージ

ただし、スタイルによっては著者が省略されていることもあり、不足情報を後から足さなければならない可能性があります。

文献情報のポップアップ

無いものを足すのは大変ですが、余分な情報を削るのは楽です。

PubMedのNLMには余分な情報も多いですが、削るだけで調整できることがほとんどですので、コピー元としてはやはり PubMed が一番おすすめです。

おわりに

引用文献リストを手作業で作るときの流れをご紹介しました。

体裁を整えたり、文中引用をマニュアルで番号に置き換えたりしなければならないのは面倒ですが、無駄な作業が発生しないように順番さえ気を付ければ、それほど大変ではありません。

文献管理ソフトにも書誌情報の取り込み作業は必要ですし、出力されるアウトプットスタイルが完ぺきとも言えないため、ある程度の手間はかかります。

もちろん論文を頻繁に書く方にとっては必需品ですが、それほど頻度が高くない方にとってはわざわざ導入するほどのものでもないと思いますので、手動でササっと作ってしまいましょう。

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