論文を書く人向け|英文チェックツール Trinka の使用感

AI を使った英文校正ツールはたくさんありますが、特定のジャンルの文体に特化したツールはまだ少ないです。

『Trinka』は、論文や学術的な文書の文体に特化した英文チェックツールです。

私は普段 Grammarly を使用しているのですが、論文での使用がメインなら Trinka の方が満足度が高いです。

今回は、論文や学術的な文章を書く機会の多い方向けに Trinka の概要と使用感をご紹介します。

Grammarly に比べて認知度は低いですしターゲットは限られますが、一部の方にはとても有用ですよ。

INDEX

Trinka とは?

『Trinka』は、英語論文・テクニカルライティングの校正のために開発された英文校正ツールです。

【概要】
公式サイト:https://www.trinka.ai/jp/
運営会社:エナゴ(母体:クリムゾンインタラクティブ)

開発元は、論文の英文校正サービスを提供している「エナゴ」と同じ母体のインド企業、クリムゾンインタラクティブ。

「論文に特化したツール」というニッチ感の背景が気になっていましたが、もともと英語論文の校正で長年実績のあるエナゴと同じ母体が開発していたのであれば納得です。

Trinka の特徴

学術論文・テクニカルライティングの文体に特化しているという点が何よりの特長です。

Grammarly でも文章のトーンや formality についてのコメントはありますが、文章の目的自体を設定することは出来ません。

主な使用目的が school か work かは設定できますが、文体の設定(アカデミックか否かなど)はできません。

  • 論文にふさわしい文体かどうか
  • 特定の専門分野の言語として適切か

という観点でチェックできるのは、Trinka に特有かつ最大のメリットです。

Trinka の使用方法:アプリケーションの種類

オンライン上(Trinka cloud)で作業可能です。また、一部は有料プランのみになりますが、ワードのプラグインやブラウザのプラグインも用意されています。

  1. Trinka cloud
  2. ワードプラグイン
  3. ブラウザプラグイン

Trinka cloud

アプリなどダウンロードせずとも、ブラウザからアクセスしてオンライン上で使えます。無料プランで使う人が大半だと思いますので、ほとんどの方が Trinka cloud で作業することになると思います。

チェックしたい文章をコピペする直接入力だけでなく、ワードファイルのアップロードも可能です。もちろん、作業後のファイルのダウンロードも可能です。

Trinka cloudの使用イメージ
Trinka cloud での作業イメージ

画面左側にテキストを入力すると、右側に修正案やコメントが表示されます。修正を反映したい場合は提示される修正案をクリックすれば自動的に左側のテキストに反映されます(もちろん、反映したくない場合は無視もできます)。

基本的な使用感は Grammarly と変わりません。

画面上では以下のような言語・スタイルの設定ができます。

画面上で設定出来ること
  • Document Type の選択:Academic Writing / General Writing
  • Style Guide の選択:None / AMA (11th ed) / AGU (2017 ed) / APA (7th ed) / ACS (2nd ed) / IEEE
  • アメリカ英語かイギリス英語かの選択

Windows版 Word用プラグイン

有料プランのユーザー限定ですが、ワードのプラグインもあります。(※2022年9月時点ではWindows版のみ。Mac版は開発中)

私は無料プランなので実際には使っていませんが、見た感じは Grammarly のワードプラグインとほぼ同じ感じです。

ブラウザプラグイン

Chrome, Firefox, Edge のプラグインも用意されています。これは無料プランのユーザーも使用可能です。

Trinka を使いたい人は論文や学術的なレポートなどの文章の校正がしたい人が多いと思うので、ブラウザプラグインを導入するメリットが私には分かりませんが、、、Googleドキュメントなどを使う人には便利かもしれませんね。

料金

無料プランと有料プランがありますが、基本的に無料プランで不自由なく使えます。

主な違いを下に抜粋しています(2022年9月時点)。

項目ベーシックプレミアム
料金無料年払い 11,120円/年
(月払い 2,780円/月)
語数制限10,000単語まで/月制限なし
自動校正/出版適正チェック2回まで/月5回まで/月
Wordプラグイン×
文法・英文プラン差なしプラン差なし
出版適正チェックプラン差なしプラン差なし
  • 各プランの詳細・最新情報は公式サイトをご覧ください。

2022年7月より円払いが可能になりました。

プラン比較

Trinka で好印象なのは、文法・英文チェックというメイン機能についてはプラン差が無いところです。

Grammarly の無料プランでは最低限のスペル・文法チェックしかなく、単語の選択やトーン、formality、簡潔さのチェックは有料プラン限定です。

対照的に、Trinka では英文チェックの項目ではプラン差が無いため、無料でもちゃんと英文校正ができます。この点はとても良心的ですよね。

無料プランの難点は以下の二点です。

  • 文書丸ごとのチェックは難しい(2回まで)
  • ワードプラグインが使えない

部分的に確認したい方などは無料プランで十分ですが、論文全体やレポート全体を校正したい人などは、やはりワードのアドインを使わないと不便だと思います。

この点を解消したい人は有料プランをご検討ください。

Trinka の使用感

個人的な感想になりますが、「論文の文体として適切かどうかをチェックしてくれる」という点では、Trinka はとても優秀だと思います。

例えば Grammarly では、論文では非常によく使われる構造の文章やお決まりの文章でも、例えば一律で「受動態です」などのコメントが出るため鬱陶しいです(笑)。

設定で特定項目のチェック機能を off にすることは可能ですが、その項目の指摘を全て off にしたい訳ではないため、悩ましいんですよね・・・

Grammarly では受動態に限らず、論文では一般的と思われる表現に対し、「そっちの方が不自然では?」と思う様な修正案が出ることがしばしばあります。

一方、Trinka では論文特有の表現などは保たれますし、論文に適した文体に修正してくれているなと感じることが多いです。

もちろん論文全体の英文校正をこれだけで済ませられるとは思いませんが、気になるところのチェックや、最終稿ではない原稿のチェック、内部でしか閲覧しない資料のチェックなど、Trinka に助けてもらえる場面はとても多いと思います。

Trinka がおすすめな人

Trinka でメリットが得られるのは、校正対象のドキュメントのタイプが決まっている人です。

  • 論文やテクニカルな文章のチェックをしたい人

逆に言うと、上記がメインの目的ではない人やこれ以外の文章のチェックがしたい人にはおすすめできません。

以下のような目的であれば、Grammarly などの普通の英文チェックツールの方が汎用性が高くおすすめです。

  • メール、SNS、ブログ・日記など、日常の文章をチェックしたい人
  • 普通のビジネス文書の英文チェックに使いたい人

プレミアム(有料プラン)にすべきか?

上でも述べた通り、肝心な「文法・英文チェック」機能は無料プランでもフルで享受できます。

有料プランを検討すべきなのは、「文書は基本的に Word で作成する。Word のまま英文チェックしたい。」という人だけだと思います。パラグラフごといちいちコピペしてチェックするのは面倒ですからね。

私は Grammarly でワードのアドインを使っていますが、Word のままリアルタイムでチェック&修正が出来るのは非常に便利です。Word で数十ページの文書を作成する機会が多い人は、有料プランにした方が確実に作業効率は上がるでしょう。

逆に言うと、文書全体のチェックは必要ない人、パラグラフ単位とかでコピペするのが苦じゃないレベルの使用頻度(量)であれば、無料プランで十分満足できるはずです。

Trinka は従来のネイティブチェック(人による英文校正)の代替になるか?

なりません。笑

AI 搭載とは言えあくまで機械であり、ニュアンスや意図までは汲んでくれません。

そのため、「投稿論文」など世に出る文書の場合は最終的には人力による英文校正はやはり必要だと思います。投稿前には、論文専門の英文校正会社に校正を依頼した方が堅実でしょう。

ただ、校正後に修正した箇所のチェックや部分的に気になる部分のチェック、作成過程でのチェックなど、Trinka があると助かる場面は多いと思います。

また、テクニカルな文書であっても、社内文書や限られた人しか見ない文書など、人による英文校正が必ずしも必要ではない文書はたくさんあると思います。そういう場面でも Trinka は便利です。

人による校正の代わりにはなりませんが、こういうツールは上手く併用するのがいいのかなと思います。

おわりに

論文に特化した英文校正ツール『Trinka』。

ニッチなツールなので知名度は低いようですが、論文やテクニカルな文章など校正対象の文体が決まっている人にとってはとても便利なツールです。

基本的に無料で十分使えますので、気になる方は是非一度使ってみてください。^^

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