期日延長|投稿論文の修正期限が短い時の対処法

論文の査読審査が終わり修正となった場合、再提出期限までに論文を修正する必要があります。この期限はジャーナルにより様々で、2~3ヵ月ほど余裕がある場合もあれば、Major Revision なのに2週間程度しかない場合もあります。

再提出の締め切りが早い場合はとても焦ると思いますが、そんな時は素直に締め切り延長を依頼しましょう。私はこれまで何度も延長依頼をしてきましたが、断られたことは一度もありません。

本記事では、締め切りにナーバスになっている方向けに、私自身のこれまでの経験と延長依頼の仕方をご紹介します。あくまで個人の経験ベースのため「絶対」とは言い切れませんが、参考になれば幸いです。

INDEX

投稿後のプロセス

論文をジャーナルに投稿した後の受理までのプロセスの図解

査読審査の結果、リジェクト(不採用)にならず「Minor Revision」か「Major Revision」となった場合、査読者・エディターのコメントに沿って論文を修正します。その時、修正論文はいつまでに再投稿してねとデッドラインが切られる訳です。

本稿の「締め切り」とはこの「再投稿の締め切り」を指します。

締め切りを守らないとどうなるか

絶対ではありませんが、締め切りを守らなかった場合はせっかく終わった査読審査が「無効」となり、修正したとしても「新規投稿」になってしまうことが多いです。振り出しに戻ってしまうため、かなり時間のロスになります。

人としての常識として、基本的に締め切りは守るべきものです。何も言わずに締め切りを破ることは止めましょう。

ただ、「何が何でもその期限内にやり遂げなければいけない」というようなシビアなものではありません。結論は既にタイトルで述べていますが、期限内に出来そうもない時は、無理せず「期限延長」を依頼することをおすすめします。

締め切りが早いとき(修正期間が短いとき)の対処法

結論

Editorial Office に締め切りの延長を依頼する

日本人は真面目な人が多くて、「締め切りを延ばしてもらう」という発想自体がない人が多いかもしれません。締め切りは「守る」もの、「守れなかったら終わり」と思っている人も私の周りにはいました。

でも、世の中、特に外国の人たちはもっと柔軟です。もっとずっと気楽に考えていいと思います。

よくある不安への回答

延長は絶対認めてもらえるものなのか?

こればかりはジャーナルのポリシー次第なので、絶対とは言えません。

個人の経験でしか言えませんが、私はこれまでに10誌は軽く超える数のジャーナルで延長依頼をしていますが、認めてもらえなかったことは一度もありません。

締め切りを延ばしてもらった場合、その後の審査(受理率)に影響はあるか?

延長の有無が「審査結果」に影響するとは考えにくいです。そんなことを考えるジャーナルであれば初めから延長を許可していないと思います。一旦許可したのであれば、編集部としてはその変更後のスケジュールに沿って粛々と進めるだけだと思います。

論文の内容を審査する「査読者」は、元々の提出日がいつだったかなんていちいち覚えていません(というか、知らないと思います)。自分のコメントに対する回答と修正具合を確認するだけです。

こちらも個人的な経験からしか言えませんが、延長依頼をして修正論文を提出した後、リジェクトになったことはこれまでありません。

延長依頼したい理由

初めに提示される修正期間は、Major Revision なら○○日、Minor Revision なら○○日、のように一律に決められている日数だと思います。コメント内容に応じて個別に設定されている訳ではありません。

コメントの内容によっては、定義変更や再解析・追加解析が必要など修正対応に時間を要する場合もありますよね。編集部のみなさんも当然、この点は理解されています。中途半端な修正しかできないより、きちんと丁寧に対応した方が論文の質は上がり、その方がそれを掲載するジャーナルとしても嬉しいはずです。リクエストする延長期間が妥当であれば、よっぽどのことが無い限り理解してもらえると思います。

もちろん、中にはポリシーとしてスケジュール変更を一切認めないジャーナルもあるかもしれません。でも、延長を「依頼しただけで」リジェクトにする人はいないはずです。聞くこと自体には何もリスクが無いので、取り敢えずまず延長依頼してみるといいと思います。もし延長が認められなかった場合は、諦めて期限内で出来ることをするしかありませんが・・・。

延長依頼の方法

ほとんどのジャーナルが Editorial Manager を使用していると思います。当該論文の「Action」から「Send an Email」を選ぶとメールフォームに進め、そこから Editorial Office 宛てにメッセージを送ることができます。

採用している投稿システムによっては勝手が違う場合もありますが、サイト上に必ず Editorial Office に連絡を取れる手段があるはずなので、そこからリクエストのメールを送りましょう。

注意点

延長依頼をする際は、下記2点に注意してください。

  1. 延長期間は余裕をもって設定する
  2. 延長依頼は締め切り間際まで待たず、早めに行う

延長期間は余裕をもって設定する

私も「再々延長」は流石にやったことがありません。認めてもらえるか分かりませんし、まずいい気分にはならないと思いますので避けましょう。間に合うかどうかのギリギリ最小限の日数を希望するのではなく、初めから余裕を持った日数をリクエストすることをおすすめします。

延長依頼は締め切り間際まで待たず、早めに行う

そもそも延長が認められるか分かりません。期限延長の可否によって修正対応の内容も変わると思いますので、延長は早めに打診しましょう。

また、国内のやり取りとは違い、即日・翌日にすぐ返事が来るとは限りません。締め切り間際になって延長依頼のメールを送っても、締め切りまでに認めてもらえないかもしれません。時間には余裕をもって、早い段階で連絡することをおすすめします。

理由の記載例

英語のビジネスメールですので、結論と理由を端的に書くだけで十分です。ダラダラと言い訳を書く必要はありませんし、大層な理由も要りません。きちんと対応するにはもう少し時間が必要なんだということをサラッと書けば十分です。

大抵の場合は以下のような理由になるのではないでしょうか。

We’d like to ask you to extend the revision due date for a month

  • because we need to recalculate the results to address the reviewer’s comments.
  • because we want to thoroughly consider reviewers’ insightful comments with co-authors.
  • because we want to conduct a reanalysis based on reviewers’ advice.

Thus, we would highly appreciate it if you could extend the deadline for re-submission from the original date of Jan. 15, 2022, to Feb. 15, 2022.

期間は適当に設定してくださいね。

おわりに

最初に提示された期限を「絶対的なもの」と考えて、延長依頼を頑なに拒む人もいらっしゃるようですが、そこまで拘る理由がよく分かりません。笑

もちろん、可能であれば与えられた期限内に対応するのが一番です。ただ、物理的に難しいのであれば、無理して中途半端な修正をするより、きちんと時間をもらった上で適切な対応をする方がよっぽど誠実だと思います。

本記事の内容はあくまで私個人の経験に基づくもので、当然全てのジャーナルに確認した訳ではありませんし、相手の担当者個人によっても差はあるかもしれません。延長が必ず認められるとは限りません。ただ、お願いしてみるだけなら何もダメージはありません。是非、気軽にリクエストしてみてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
INDEX