「~と言った」「~と言われた」|英作文では能動態の間接話法で書こう

「言った」「言われた」は日常で頻繁に使う表現ですよね。英作文でも無意識にたくさん使っていると思います。

  • 「○○が××って言ってたよ」「××だと話していました」
  • 「××と言いました」「○○に××だと話しました」
  • 「○○に××するように言われた」「××しないように言われた」
  • 「××だと言われました」「○○から××と聞きました」

「言う」「話す」は say か tell で表現しますね(文脈によってはもちろん他の動詞も使えます)。

単純そうに思えますが、英作文ではいくつかミスのパターンがあります。

  • 直接話法と間接話法がごちゃ混ぜになっている
  • say と tell を混同・誤用している
  • 受動態で書こうとして失敗している

どのミスも致命的なモノではなく単なる文法上の減点だけですが、だからこそそんな所で1~2点引かれてしまうのはもったいないと思いませんか?

そこで今回は、この「言った」「言われた」にまつわるミスと注意したいポイントを整理しました。

「いつも直接話法を使ってしまっている」「受動態で書くことが多い」という人は特にチェックしてみてください。

INDEX

直接話法と間接話法

上で「直接話法」「間接話法」という文法用語を使ってしまいましたが、簡単に整理しておきます。

直接話法

直接話法というのは「誰かが発言したセリフをそのまま書く」表現法です。

Our teacher said, The report is due on the 25th.
先生が、「レポートの締め切りは25日です」と言った。

My mother said to me, “Don’t touch your smartphone while eating.
母は私に「食事中にスマホを触るな」と言った。

日本語ではセリフは「」で括りますが、英語では “” で括ります。セリフの前のコンマも大半が忘れるので気を付けましょう。

「言う」という動詞には、tell ではなく say を使うのがポイントです。

「叫んだ」とか「怒鳴った」とか他の動詞も使えますが、そんなバリエーションで勝負する必要は全くありませんので、万能な say を使えばOKです。

直接話法のポイント
  • セリフはダブルクォーテーション( “” )で括る
  • セリフの前にはコンマ(,)を入れる
  • 「言う」という動詞には say を使う

間接話法

間接話法というのは「セリフをそのまま引用せずに発言の内容を伝える」表現法です。

説明が下手ですが、要は我々が普段やっていることです。

「○○が××って言ってたよ」というとき、××に「発言の一言一句そのまま」を入れて語ることなんてまずないですよね?チャットやメールなど書き言葉で伝えるときなんて特に。

口語だとモノマネするためにわざとセリフを入れるときはありますが(←私はね)、セリフをそのまま言うなんてそんな時くらいだと思います。

こういう時に何気なくやっている表現法が、間接話法です。

Our teacher said (that) the report was due on the 25th.
先生はレポートの締め切りは25日だと言っていた。

My mother told me not to touch my smartphone while eating.
母に、食事中はスマホを触るなと言われた。

直接話法で見たような “” で囲まれたセリフそのものはありません。でも、言われたことの内容は分かりますね。これが間接話法です。

直接話法⇔間接話法の書き換えは中学校で学習します。

ここでは書き換えのレッスンはしませんが、よくある間違いは後ほど下で詳しく見ていきますので、自信の無い人は同じようなミスをしていないか確認してみてくださいね。

間接話法のポイント
  • セリフをそのまま書かない(that の後ろにセリフをそのまま書く人が大勢いるため要注意)
    • 発言内容は that 節to 不定詞を用いて表現する
    • セリフそのままではないため、代名詞や時制は文法的に成立するよう調整する必要がある
  • tell の後ろに間接目的語の「人(~に)」を入れるのを忘れない

英作文では間接話法を使う

「言った」「言われた」の表現には直接話法と間接話法の2パターンあることをおさらいしました。

ですが!

自由英作文(エッセイ)では、ほぼ間接話法しか使いません

あえて直接話法を使いたいのは「物語」を語りたいときだけ

直接話法を使った方がいいのは、ストーリーテリング(物語)の場合だけです。

  • 印象的な言葉(恐怖、驚き、感動、喜び)
  • 心に残っている言葉

こういうものを伝えたい時はセリフをそのまま書いた方が情動や臨場感が伝わるため、直接話法の方が効果的だと思います。

逆に言えば、そういう感情・感動を伝えたい訳ではない場合、つまり「セリフそのものはどうでもよくて、言われた内容を伝えたいとき」は、迷わず間接話法を使いましょう。

理由は、間接話法の方が前後の流れを壊しにくいからです。

物語ではない論述文を読んでいるときにいきなり「セリフ」が出てくると、普通は困惑します。あえてセリフそのものを引用する必要性がないことがほとんどだからです。

日本語で以下のようなことを言うときって、基本的には言われた「内容」さえ伝えられれば十分ですよね。

  • ××だと言われた(聞いた、教わった、指示された、忠告された、注意された)
  • ○○に××と聞いた
  • ○○するように言われた
  • ××しないように言われた

わざわざ「」で一言一句伝達しようとは思いませんよね

英語でも同じです。

ストーリー語りではない限り、間接話法を使うのが無難です。

まずは能動態で書けないか考える

「言われた」と言いたいとき、日本語に忠実に受動態で書こうとする生徒さんはとても多いです。

文法的に正確に表現できればもちろんそれでもOKです。でも、受動態にするとミスの可能性が増えるのも事実。

能動態の方が圧倒的に書きやすく文法ミスのリスクも低いため、基本的には能動態で文章を作るのがおすすめです。

「言われた」「聞いた」ということは絶対にそれを発言した人・団体・主体があるはずなので、能動態で書けないことはまずありません。

Examples
  • 「母に○○と言われた」⇒「母は(私に)○○と言った」
  • あの子は他のクラスの子に○○と言われていた」⇒「他のクラスの子があの子に○○と言っていた」
  • 「今日は早く帰るように言われた」⇒「先生が(みんなに/私に)今日は早く帰るように言った」

「先生に○○と言われた。」を「先生が○○と言った。」に変換したところで、「伝えたい意図が正確に伝わらない」なんていうことはほぼありません。

意訳でも何でもなく、単純に構造の違いだけです。

皆さんが恐れているよりずっとフレキシブルに言い換え出来ますので、受動態の文章が少しでも書きづらいと思ったら、思い切って主語を変えて能動態で表現してみてください。

「言った」「言われた」にまつわる文法ミス

ここからは、普段英作文を添削していてよく遭遇するミスのパターンを紹介していきます。

同じようなミスをしたことがある人は、「どこが間違いなのか」「どう直せばよいのか」をチェックしてみましょう。

直接話法と間接話法の混同

まず多いのが、直接話法と間接話法をごちゃ混ぜにしてしまっているパターンです。

例1

Our teacher said, “The report is due on the 25th.
先生が、「レポートの締め切りは25日です」と言った。

本来は上のように書きたいところを、以下のようにしてしまう間違いをよく見ます。

  • Our teacher said that “The report is due on the 25th.
問題を解消するには・・・

that 節の中にセリフは入れられませんので、コンマで区切った後にセリフを引用します。

  • Our teacher said, The report is due on the 25th.

間接話法を使うつもりなら、that 節の中身はセリフではなく通常の節になるように書き換えます。

  • Our teacher said (that) the report was due on the 25th.
  • Our teacher told “The report is due on the 25th.
  • Our teacher told that “The report is due on the 25th.
問題を解消するには・・・

直接話法で「言う」という場合、動詞は say を使うんでしたね。

  • Our teacher said, The report is due on the 25th.

間接話法なら tell も使えます。ただし tell は「~に…と話す/伝える」という意味の動詞なので、発言内容より先に~に」という間接目的語が必要です。

  • Our teacher told us (that) the repot was due on the 25th.
  • Our teacher told us to submit the report by the 25th.

別の例文でもやってみましょう。

例2

My mother said to me, “Don’t touch your smartphone while eating.
母は私に、「食事中はスマホを触るな」と言った。

上のような文章を作るつもりで、以下のような文章を書いてしまう人は多いです。

  • My mother said that Don’t touch your smartphone while eating.
問題を解消するには・・・

that 節の中にセリフは入れられませんので、コンマで区切った後にセリフを引用します。

  • My mother said (to me), Don’t touch your smartphone while eating.

say の目的語に that 節を取ることはできます。この場合、that 節の中は通常の節になるように書き換えるんでしたね。

  • My mother said (that) I should not touch my smartphone while eating.
  • My mother told “Don’t touch your smartphone while eating.
問題を解消するには・・・

直接話法にするには say を使います。セリフの前にはコンマが必要です。

  • My mother said, “Don’t touch your smartphone while eating.

間接話法なら tell が使えますが、間接目的語(この場合は「私に」の me )が必要でしたね。

  • My mother told me (that) I should not touch my smartphone while eating.
  • My mother told that “Don’t touch your smartphone while eating.
  • My mother told me that Don’t touch your smartphone while eating.
問題を解消するには・・・

tell を使うのであれば間接話法で表現します。

  • My mother told me not to touch my smartphone while eating.
  • My mother told me (that) I should not touch my smartphone while eating.

疑問文

疑問文を間接話法にするときは、動詞は ask を使います。

My teacher said, “Do you want to watch a movie or do self-study?”
先生が、「映画を見るか自習するかどっちがいい?」と言った。

  • My teacher said that “Do you want to watch a movie or do self-study?
問題を解消するには・・・

that 節の中にセリフは入れられないんでしたよね。

  • My teacher said (to us), Do you want to watch a movie or do self-study?
  • My teacher asked us, Do you want to watch a movie or do self-study?
  • My teacher said that if we wanted to watch a movie or do self-study.
  • My teacher asked that if we wanted to watch a movie or do self-study.
問題を解消するには・・・

疑問文を間接話法で表すときは ask を使います。

また、that の後ろに if 節(~かどうか)を入れてしまう人が多いですが、節(S+V)を導くマーカーは1つしか要らないので、that と if は両方使えません。疑問文の場合は if のみを使います。

  • My teacher asked (us) if we wanted to watch a movie or do self-study.
  • that S + V =「○○ということ」
  • if S + V =「○○かどうか」

直接話法で質問文(セリフ)をそのまま書く方が簡単だと思う人が多いと思いますが、エッセイや自由英作文の中で疑問文が出てきて不自然ではないシチュエーションというのはまれです。

いきなりセリフが出てきても違和感が無いのは小説などストーリーを読んでいる時くらいですよね。

もちろん例外はありますが、上でもお話した通り、エッセイなどでは間接話法で表現するのが基本です。

もし「間接話法はややこしいから」という理由でこれまで直接話法に逃げていた人は、この機会にぜひ一度「間接話法」を復習してみてください。厄介なのは時制の一致くらいです。慣れればとても楽に色んな文章が作れるようになるので、絶対に損はしないですよ。

受動態のミス

「言われた」を受動態で表すときに say を使ってしまうミスも非常に多いです。

say は「~と言う」という動詞で、「私に」のような「人」を目的語に含みません。だから「人」を主語にして受け身に変換することは出来ないのです。

Our teacher said that the report was due on the 25th.

  • I was said…?

“to ○○” を入れれば「○○に」という情報も入れられますが、結局これも say の目的語ではないため、この部分を主語にして受け身にすることは出来ません。受け身の主語になれるのはあくまで目的語、つまりthat 以下の内容です。

Our teacher said to us that the report was due on the 25th.

  • We were said…?
  • It was said to us by our teacher that the report was due on the 25th.

受動態で「言われた」とするには、tell を使うのがひとつ。もうひとつの解決法は、そもそも受動態を使わずに能動態で表現することです。

例1:「9月末までに課題を終わらせるよう言われた」

  • He was said to finish his assignment by the end of September.
解決方法①:tell を使う

say は間接目的語(~に)を取らないため、受け手を主語に出来ないんでしたよね。受け身にするとしたら that節の内容が主語になるんでした。

“The teacher said to him that …” ⇒ “It was said to him by the teacher that…

受け手を主語にするには、間接目的語が取れる tell を使う必要があります。

  • He was told to finish his assignment by the end of September.
    ← The teacher told him to finish his assignment by the end of September.
解決方法②:能動態で表現する

「言われた」と受動態を使わなくても、そう指示した人間を主語にすれば同じことが能動態で表せます。

  • The teacher told him to finish his assignment by the end of September.
  • The teacher said to him (that) he must finish his assignment by the end of September.

能動態で書いたところで「意図したことが伝わらなくなる」ことはかなり少ないはずです。

例2:「オンライン授業が導入されると言われた」

  • We were said that our school would introduce online classes.
解決方法①:tell を使う

受け手を主語にするなら、間接目的語が取れる tell を使う必要があります。

  • We were told that our school would introduce online classes.
解決方法②:能動態で表現する

「言われた」と受動態を使わなくても、発言の主体を主語にすれば能動態で表せます。

  • Our teacher told us that the school would introduce online classes.
  • Teachers told us that they would introduce online classes.

文脈にもよりますが、この例文のような内容の場合は「言われた」ではなく「聞いた」にすれば「私」が主語でも能動態で表せます。

  • We heard that our school would introduce online classes.
  • I heard from my teacher that the school would introduce online classes.

今更ですが、本記事のライティングの趣旨は「言いたいことを伝える」ことです。「正解」の表現は無限にあり、決して 〇 で記している文章しか正解が無いという訳ではありません。

逆に、「正解がひとつしかない文法問題」を解く際にはこのような自由な発想をしても得点は得られないと思いますので注意してください。

おわりに

「言った」「言われた」という文脈は知らず知らずのうちに英作文でもよく使っています。

直接話法⇔間接話法の転換の理解が曖昧なままだと今回紹介したようなミスをしてしまいがちです。小さな減点がとてももったいないですし、頻繁に使う表現なので、苦手な方はぜひ一度腰を据えて復習してみてください。

間接話法に慣れるとその後のライティングが絶対楽になります。ストーリーテリングなどの特殊な場合を除き、英作文やエッセイで直接話法を使う機会は稀ですからね。

これまで直接話法派だったみなさんも、間接話法で言いたいことが表現できるようぜひ練習してみることをおすすめします。

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