「英語やりたい!」と思ったはいいものの、何から始めたらいいか分からない…というのはよくあることです。
方法を考えるのも大事ですが、まずは「何のためにやるのか?」「結局何がしたいのか?」を考えてみるのがおすすめです。
なぜなら、目的によっては英語の勉強が必要ない場合も多いですし、取り組むべき内容や方法は目的次第だからです。
もうひとつ必要なのが現状レベルの理解です。現状を知らずして対策はできませんからね。
今回は、「英語が出来るようになりたい、だけど何をしたらいいか分からない」という方向けに、目的と現状の整理の仕方をお話します。
最初にここをクリアにしておけば、遠回りしたり挫折したりするリスクがぐっと減りますよ。
「英語をやろう!」と思ったらまず考えたいこと

「英語を勉強しよう!」と決めたら、多くの人は次に「手段」を考えます。
でもその前に、
- どうして英語がやりたいのか(必要なのか)
- 結局どうなりたいのか
をじっくり考えてみてください。
この答えによって、取り組むべき内容(学習プラン)が変わってくるからです。
目的が明確でないと、適切な道筋が立てられない

英語ができると役立ちそう
こういうフワッとした動機だけだといずれモチベーションが低下し、そのままフェードアウトすることになります。
なぜなら、目指す姿(目標)が遥か遠くにあり、一向に近づく実感が得られないからです。
筋トレやダイエットと同じで、成果が自分で実感できないと語学学習は挫折します。
これを回避するためには、成果や達成感が感じられるところ、つまり「手の届くところ」にマイルストンを設定することが大事です。
手の届く小さな目標(マイルストン)を置く
教材単位など、確実にこなせるレベルの小さなマイルストンを置きましょう(例:この教材を終える、この単語帳をまず1周する、など)。
そして、手の届くこのマイルストンをひとつずつクリアしていきます。
小さな、でも確実な成果を何十も何百も積み重ねていけば、気付いた時にはターゲットに近づいています。
マイルストンは最終目標への最短ルート上に置く
マイルストンは、到達したい目標までの最短ルート上に置きます。
そのためにはまず、最終目標を明確にする必要があります。到達地点が分からなければ、最適ルートが敷けないですからね。
途中で「遠回りだ」と気づいてしまうと一気に萎えます。最初に適切なルートを敷くことが大事です。
目的をクリアにしたあとに確認すべきこと


目標が明確になったら、次にすべきは「現状の把握」です。
スタートレベルが正確に掴めていないと、適切な学習プラン(何から取り組むべきか、どういう配分で取り組むべきか、何を捨てるべきか、など)を立てられないからです。
主観は捨ててください。
今の自分は何が出来て何が出来ないのかを、客観的かつ具体的に把握することが大事です。



ここをサボって「感覚的に」始めてしまう人は多いです。
最初が肝心なので、丁寧に確認してみてくださいね。
目的の明確化と現状把握のために、自分自身を質問攻めにしてみよう


「目的」と「現状レベル」は自分に聞くしかありません。自分自身に問いかけながら整理していきましょう。
以下では、よくある3つの動機を例に質問例を提示してみます。こんな感じで深掘りしていって、目標と現状を整理してみてください。
- 映画を字幕なしで見たい
- 英語を使って仕事がしたい
- TOEIC の高スコアが欲しい
例1:「映画を字幕なしで見たい」


私もこんな憧れを持っていました。英語を始める動機としてはポピュラーですよね。
少しでも楽しめたならその時間は無駄ではないので、途中でドロップアウトしたとしてもそれはそれでいいとは思います。
ただそれで後悔しそうな性格の人は、「本当に実現したいのはこれなのか」を是非考えてみてください。
目標設定のための質問
- 映画はどのくらいの頻度で見ますか?
- 映画は趣味のひとつですか?他の趣味と比べた時のウェイトは?
- 1年程度で達成できる難易度ではありません。数年間の取り組みになっても耐えられますか?
「あ、これは本当に私がやりたいことじゃないな」と思って、途中で離脱する人もいるかもしれません。それはそれでいいことだと思います。ほかの趣味にトライできますしね。
- 英語の目的としては、「映画を見れるようになること」が最優先ですか?
- 他にも出来るようになりたいことはありますか?(旅行先で現地の人と会話したい、など)
- 楽しみながらついでに英語が勉強できたらいい、という温度感ですか?
- 時間はかかってもいいですか?それとも、ある程度の期間で集中的に取り組みたいですか?
「目標はコレだ」と思っても、ほかに潜在的な欲求があると途中で不満が爆発したり冷めてしまったりします。挫折しない学習プランを練るには、取り組むべき内容と適切な配分が重要です。ほかに潜在的な欲求が無いか、自分自身に問いかけてみてください。
こんな感じで深掘りしていくと、
- 「映画が見れるようになるためのリスニング対策」をすればよいのか、
- メインの目的は別に据えた方がよいのか、
- 映画はモチベーション維持のために取り入れるべきなのか、
などの方針が見えてきます。
もちろん勉強していく中で方向性が変わることはありますが、現時点ではそこを考える必要はありません。
現状把握のための質問
目標が明確になったら、次はスタート地点を把握します。
- 字幕なしだと、映画1本見た時にどのくらい理解できますか?
- 映画のスクリプトをひとつ読んでみてください。意味が分からない文章はどのくらいありましたか?
- 分からないのは単語の意味を知らないからですか?
- 単に単語の意味だけではなく、文構造から分からないようなものはどの程度ありますか?
文章としては理解できるけれど単純に音として聞き取れないだけなのか、そもそもスクリプトで文章として読んでも理解できないのかでは、やるべきことは変わってきます。具体的に何が出来て、何が出来ないのかを知りましょう。
こんな感じで詰めていくと、
- 出来ること
- 出来ないこと
- 出来るようになる必要があること
- 出来なくても構わないこと
が見えてくると思います。
誰しも最初はやる気MAXですが、そのうち飽きてきます。そのとき、少しでも無駄・無意味だと思ったら止まります。



人間って賢いというか、経済的な生き物ですからね。
必要なことにフォーカスした学習プランを練ることは、成功する上で非常に大事です。
例2:「英語を使って仕事がしたい」


これも英語を勉強する動機ではポピュラーなものですね。
ですがこれは非常に曖昧で、勢いで始めてしまうと失敗するリスクもあるためもう少し深掘りしましょう。
- 具体的に、どんな仕事をイメージしていますか?
- 働く場所(海外 or 日本)は考えていますか?
- 「英語を使いたい」という希望ですか?それとも、「その仕事には英語が必要」ということですか?
- 「使う」は、どの程度のイメージですか?書類作成やメール?商談?それとも海外就職?
業種・職種によって必要な英語スキルは異なります。職種によっては、言語は二の次、三の次でいいものもたくさんあります。その場合は英語より他のことに取り組んだ方がいいかもしれません。
今決め切る必要は全くありませんが、具体的にイメージした方が「取り組むべきこと」を設定しやすいですよ。
就職や転職に絡む場合は、現状レベルに加えて学習期間がどれくらいあるかも重要です。
- いつまでに就職・転職したいという期日はありますか?
- 準備期間はどのくらいありますか?
- 実務での英語の使用経験はどのくらいありますか?
- 英文メールを書けと言われたら困りますか?
- 2~3枚の英文資料や英語のwebサイトを読むのに苦痛を感じますか?
- スピーキングはどのくらいできますか?
現状レベルは人によって千差万別です。
何をどういう配分で取り組むべきかを決めるには必須の情報なので、「何が出来て、何が出来ないのか」を細かく把握してみてくださいね。
ただ、「何が必要か」は自分では分からないと思います。
「とりあえずビジネス英語の教材を買う!」のではなく、まずは自分のやりたい仕事をしている人の働き方(英語の使い方)をリサーチするのがおすすめですよ。
例3:「TOEICの高スコアが欲しい」


昇進要件にTOEICがある人にとっては特に切実だと思います。
一方で、目的(目指すところ)によってはTOEICが必要ない場合も多々あると思います。
大切な時間と労力を無駄にしないためにも、いきなりTOEICの教材を買い占める前に、ぜひ必要性を確認してみてください。
- TOEICのスコアが必要な理由は何ですか?転職?就職?何となく?
- スコアアップ自体が目的ですか?それとも、英語が使えるようになることが目的ですか?
- 極端な話、スコアさえ取れればいいですか?


必要性に自分自身が納得し、受験することが確定したら、具体的な学習プランを立てましょう。
使える時間と現状レベルを踏まえ、無駄のないプランを練る必要があります。
- スコアが必要な場合、目標(必要スコア)は何点ですか?
- どのくらいの学習期間を用意できますか?
- 現在のスコアは何点ですか?リスニングとリーディングのスコアバランスは?
- 時間内に全問解けますか?時間が足りないとしたら、どのくらい手付かずで終わりますか?
純粋にスコアアップが目的の場合
純粋にスコアアップだけが目的なら、専門教材やコーチングスクールはたくさんあります。
パーソナルコーチを付ければ上のような現状把握はやってもらえますし、ゴールまでの最短の道筋は作ってくれます。
自分でプランを立てるのが得意ではない方や、昇進がかかっている人など短期間で対策する必要がある人は、プロに手伝ってもらうのも賢い手だと思います。


時間に余裕がある方は、コーチングを利用しなくても地道に取り組めば自力でも達成できると思います。
ポイントは、あれもこれもと余計な教材に手を出さないことです。模擬問題集を徹底的にやりつくすことが一番の近道です。



「英語の勉強」ではなく「TOEICの勉強」をするというマインドが持てると早いですよ。
目標は変わって当然


適切な学習プランを立てるためには、最終目的を明確にすることが大事だとお伝えしてきました。
とはいえ、最終目標は途中で変わることもあります。英語学習は長期戦のため、変わらない方が珍しいかもしれません。
途中で変わってしまったら最初に決めたルートは意味ないんじゃないかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
目標を変える段階まで行っている時点で既に成功者です。挫折する人ならとっくに挫折していますから。
勉強を始め、出来ることが増えてくれば増えてくるほど、「上には上がいる」「○○が足りない」「もっと○○が出来るようになりたい」という課題が見えてきます。
その時点で既にスタート地点からはだいぶ成長しています。目的地を変えたいと思ったら、その時点で変更すればいいんです。それは遠回りしたことにはなりません。
変えたいと思った時に、考え得る最短ルートをまた敷けばいいんです。そうやって進んでいくものです。
おわりに
「英語をやりたい!」と思う方は大勢いますが、多くの方が挫折します。それは、本当にやりたいことや必要なことを見定めず、見切り発車で何となく勉強し始めてしまうからです。
「取り敢えずやってみる!」というタイプの方はこれでも構わないと思います。
ですが、後から後悔してしまうタイプの方は、ぜひ最初に「目的」と「現状レベル」をクリアにしてみてください。
何がしたくて、そのために何が必要で、何は不要か。これを最初にクリアにすれば「すべきこと」は見えてきますし、目標到達の可能性も高まりますよ。

