Grammarly(グラマリー)の premium ユーザーになると、タイポや文法的なミスだけではなく、単語の選択やトーン、文章の読み易さといった観点からもアドバイスをもらうことができます。
「なんかいいかも?」と期待しつつも、月額$12はお高いので、もう少し詳しく知りたいと思う方が多いのではないでしょうか(←私がそうでした)。
今回は、Premium に移行すべきかどうかお悩み中の方のために、具体的にどんな項目についてチェックしてもらえるのかを一覧にしました。文法ミス以外の校正機能が気になっている方はぜひチェックしてみてください。
Grammarly(グラマリー)について
Grammarly は無料でも一部の機能が使えますが、今回ご紹介する内容は有料プランの機能です。
私は無料プランと有料プランのどちらも経験があり、それぞれの使用感や満足した点・不満な点などを下記で紹介しています。
Grammarly の概要とプランの違いが知りたい方は、まずは下記をご覧ください。

Grammarly の有料プランでチェックしてもらえる項目
基本的な文法(punctuation含む)のチェックは、無料プランでもしてもらえます。
最低限の文法チェッカーとしてならそれで十分だと思いますが、これだけでは「英文校正」とはとても言えませんよね。(^^;)
英文校正をして欲しい人は、有料プラン(premium)にする必要があります。
有料プランにすると、
- 明瞭簡潔さ(読みやすさ)
- 適切なトーン・単語の提案
についてもチェックや提案がもらえますので、英文校正をした感じは得られると思います(文書全体の用途や文章の意図などは汲めないので、人間による英文校正には劣ります)。
下では具体的な「チェック項目」を全て列挙していますので、自分の欲しい機能あるかどうかをぜひ確認してみてください。
なお、下で示す項目は全てカスタマイズできるため、チェックが不要なものがあれば「OFF」にすることができます。

私も実際いくつか OFF にしている項目があります。
Clarity
まずは「簡潔さ・読み易さ」についてです。個人的には、premium の目的というか、premium プランの意義はほとんどこの機能に集約されていると思います。
具体的には、以下の7項目についてチェックしてくれます。
- Add transition words for clarity
- Avoid long, hard-to-read sentences
- Avoid noun strings
- Avoid passive voice
- Combine sentences with related ideas
- Rearrange sentences for clarity
- Split up long, hard-to-read sentences
長い文章・読み辛い文章の指摘(②、⑥、⑦)
私は文章が長くなってしまう癖があるため、②⑦の指摘はとても役立っています。
ただ単に「文章が長いですよ」というアラートが出るだけではなく、分割案の提示をしてくれる場合もありますよ。
⑥は、語順の入れ替えの提案です。私が正にそうなのですが、日本人だと下のような構造の文章を書くことも多いのではないでしょうか?
- To ~~~~~~~~~~~~~~, we should ~~~~~~~~~~~~~~~.
- For ~~~~~~~~~~~~~~~, it was ~~~~~~~~~~~~~~~~.
日本語の語順と同じように、「~のために」「~という目的で」「~するために」などの文字列を先に書きたくなっちゃうヤツです(笑)。
文法的に問題がある訳ではありませんが、文章の長さや構造によっては「もっと natural な構文に書き換えた方がいい」というアラートがもらえます(修正案の提示もあります)。
こういう構造が一律ダメだという訳ではないため、直しが必要かどうかはケースバイケースだと思いますが、自分では気づかなかった「読み辛さ」や「不自然さ」を指摘してもらえるというのはとても助かります。
受動態の指摘(④)
受動態の文章も日本人には特に多いです。アカデミックライティングでは受動態の文章を避けるのは鉄則なので、これも有り難い指摘ではあります。
ただ、私が普段書く論文の文章では、受動態にせざるを得ない場合や、その方がしっくり来る場合も多いです。テクニカル文書でも同じことがあるかもしれません。
ご自身が普段書かれる文書の使用目的や領域によっては、いちいちこのアラートが出るとイラっとする場合もあると思います(笑)。そういう場合はこのチェック項目は「OFF」に出来るので安心してください。
ひとつ残念なのは、いったん「OFF」にすると受動態のアラートは一切出なくなってしまうということ・・・。
理想としては、ONかOFFかの両極端ではなく、全体のバランスを見てチェックして欲しい所ですが、現状ではそこまでの機能はありません



AI のポテンシャルを考えるとそんなことくらい簡単に出来そうなので、そのうち出来るようになるんじゃないかなと期待しています・・・
私は極力受動態を使いたくないという思いはあり、この機能自体を「OFF」にしてしまうことには正直抵抗がありましたが、とりあえず今は「OFF」にしています。(いつでも変えられるため、そんなに深刻に悩む必要はありませんよ)
Formality
文体がカジュアルになりすぎていないか、「Formality」の観点でもチェックが受けられます。
具体的には以下の項目です。使用頻度からすると世間一般に十分許容されている文法表現ですが、場面や人によっては「これは適切な用法ではない」と言われることもあるもの・・・という印象ですね。
- Avoid ending sentences with prepositions
- Avoid personal pronouns in academic writing
- Avoid split infinitives
- Avoid starting sentences with conjunctions
私はこのうち、②と③のチェックは「OFF」にしています。
論文などでは人称代名詞を嫌う人がいまだにいますが、こんなことを気にする人間にはなりたくないからです(笑)。今は we などの人称代名詞を使うことは至極一般的ですし、下手に避けて不自然な文章を作るより、圧倒的に読み易いはずです。論文専門のネイティブ校正者にお願いしても、人称代名詞を避けろとは言われませんしね。
③も同様で、split infinitives は論文専門のネイティブ校正者に依頼しても直されることがまず無いため、もう一般にも許容されている文法なんだなと思ってからは「OFF」にするようにしました。単純に、私自身が好きでよく使ってしまうというのもあるんですけどね(笑)。
Sentence structure
文章構造については以下の観点でもチェックしてもらえます。
- Avoid repetitive sentences
- Avoid sentence fragments
①は、単調で同じような構造の文章が続いた時に出ます。
だいぶ極端な例ですが、「She is our English teacher. She likes music. She plays the violin.」みたいな類似構造の文章が続くときですね。
②は下のような慣用的なものや一般的なものも含め、不完全な文のときに出るアラートです。
- Hope you are doing good.
- Looking forward to your reply.
主語抜きの文章はメールやチャットで私はよく使うので、この機能は「OFF」にしています。
Inclusive language
次は「言語の適切性」に関するチェック項目です。たくさんありますが、これは全て「ON」にしておいても何の不都合もないと思います。
差別的・攻撃的・誰かの気を害する表現などが無いようチェックしてくれて、よりニュートラルでトラブルのない代替語に置き換えてくれます。
- Avoid biased language (age)
- Avoid biased language (disability)
- Avoid biased language (family)
- Avoid biased language (gender)
- Avoid biased language (human rights-related)
- Avoid biased language (human rights)
- Avoid biased language (LGBTQIA+)
- Avoid biased language (race and ethnicity)
- Avoid politically incorrect language
- Use gender-neutral generic pronouns
- Use person-first language
アラートが出るだけではなくちゃんと代替語を提案してくれますので、自分で悩んだりする必要はなく、瞬時に修正することができます。



もちろん、全て言われる通りに反映する必要はありませんけどね!
言語の適切性は、その文書の用途(使用場面)や読者によっても変わると思います。私は表面的な言葉狩りは無意味どころか害悪だとさえ思っています。提案された言葉の方が絶対的に適切だとは限りません。
ただ、文化的なものや背後にある歴史・認識、言語の持つニュアンスなど、我々には分からないこともたくさんあると思いますので、こうやって指摘してもらえるのは非常に参考になります。
Word choice
言葉の選択に関しては、以下の観点でもチェックしてもらえます。アカデミックライティングが必要な方には必須項目ですね。
- Use descriptive, vivid words
- Use word variety
①に関しては、一般的に使用頻度が高く安易に使われがちな単語に対してアラートが出ます。私がよくもらうのは、important や good に対してですね。
一点問題だと思われるのは、特定の単語については毎回必ず特定の代替語が提示されるという点です。
例えば important には一律で “crucial” か “essential” に変えるよう提案されます。全部反映していたら crucial がやたらと多いなんてことにもなりますし、前後の流れや意図を汲んで提案してくれている訳ではないため、提案される単語がフィットしていないと思うときもあります・・・。



こういうところの精度は今後上がっていくといいなと期待しています。
とはいえ、言語には癖が出るので、好きな単語や似たような表現は無意識に頻発しているはずです。こうやってアラートしてもらえるのは有り難いので、(たまに鬱陶しいなと思う時はあるものの)私はこの機能は「ON」のままにしています。
Correctness
「流暢性」についてはあまり指摘をもらうことが無いので例が思い出せませんが、我々非ネイティブには絶対に分からないことなので、この機能は絶対に外せないと思います。
- Sound fluent
Voice and tone
Premium plan では文章のトーンのチェックもしてくれます。
- Sound friendly
ビジネス文書のチェックではあまり必要ないかもしれませんが、メールなどでは結構感情を出してしまう人もいると思います(感情を出すことが一概に悪い訳ではありませんが)。
下図はとある週の私のトーン集計です。文章を書いているとここに出ているような絵文字でトーンを教えてくれるため、過激じゃないか、カジュアル過ぎないかなどの確認が瞬時にできます。


トーンが適切でない場合は代替語の提案もしてくれるため便利ですよ。
私もメールでは結構過激目に書いてしまうことが多いので、トーンチェックは頼りにしています(笑)。
Punctuation
無料プランでも基本的な punctuation のチェックは出来ますが、premium では以下のチェックとカスタマイズが可能です(全てデフォルト設定の「ON」で不都合無いと思いますけどね!)。
- Avoid spaces surrounding a slash
- Avoid unnecessary ellipses
- Avoid using multiple exclamation points and question marks
- Place punctuation within quotation marks
- Use the Oxford comma
Numbers
数字のスペルアウトについては、以下の項目のチェックとカスタマイズが可能です。
- Spell out numbers beginning sentences
- Spell out numbers zero through ten
- Spell out ordinal numbers first through ninth
基本的にはこれも全て「ON」で不都合は無いと思いますが、論文だと10以下の数字もアラビア数字で書きたいケースが結構あると思います。
いちいちアラートが出て鬱陶しいと思う場合は、その論文執筆の間だけ②を「OFF」にするのもアリだと思います。(アラートを全て reject にしても、翌日同じファイルを開くとまたアラートが出てくるので、無視し続けるのも疲れるからです。笑)
Dates and times
これを敢えてカスタマイズしたい人がいるのか不明なのですが、9am を 9 am に直されるのが嫌な人はこの機能は「OFF」にしましょう。笑
- Use a space between the time and a.m. or p.m.
Grammarly の premium plan を試してみて欲しい人
「あったら有り難いな」と思うチェック項目はあったでしょうか?
もしなければ、premium にするメリットは無いのでこのまま無料プランで使い続けることをおすすめします。(ほとんどの機能を「OFF」にしようと思った方もね!笑)
逆に、「これはあったら嬉しいな」と思うチェック項目があった方は、ぜひ premium プランを試してみてください。
とくにアカデミックやビジネスの現場で使われる方であれば、Clarity や Formality、Word Choice の観点で校正してもらえる利点は大きいと思いますよ。
いきなり長期契約をする必要は無いと思います。割高ですが、1ヵ月使ってみるだけでも必要かどうかは判断できますので、短いスパンでまず試してみてください。便利だと思ったら続ければいいですし、思ったほど役に立たないと思えばすぐ辞めればいいだけですから。
おわりに
Grammarly の premium プランでカスタマイズ可能な校正項目をご紹介しました。
カスタマイズは「ON」か「OFF」の両極端でしかできない点は残念ですが、いつでも変更可能なので、文書ごとに変えればそれほど不都合はないかもしれません。
もしベネフィットが得られそうだなと思われた方は、まずは短い期間からでも試してみてください。
一度使うと安心感が手放せなくなって、私のように長期ユーザーになってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが・・・。笑